船に乗れば慌ただしく船員達が出港の準備に動き回っていた。


…………はぁ〜、何か胃が……。

『…お母さん、大丈夫?』

不安げにカゲがワシを見てきた。


『大丈夫だ。』

クスリと笑ってカゲの頭をポンポンと優しく叩いて周りを見れば、1人の船員にハルンが抱きついていた。


……………乗った矢先に問題を……。


ワシはため息を一回つき、ハルンに近寄って思いっきり頭を殴った。

殴られたハルンは少しヨロケて船員から離れた。


『今…のうち、逃げろ。』

そう船員に向かって言うと、何がおこったのか分からないと言った感じに固まっていた船員は慌ててお辞儀をして仕事へと戻っていった。


『っ……。』

『自重。』

痛みに耐えているハルンにワシは冷たくそう言うとハルンはワシを見て。

『……嫉妬か?』

っと何処か嬉しそうにワシに言ってきた。

それに何度目かのため息をついてワシは

『違う。』

と言いハルンから離れる様にアリカ達が見える場所を探して歩きだした。


歩き出したワシの後をにやけながらハルンがついてきた。

『………くるな。』

『無理。』

ワシの態度にもハルンは嬉しそうに笑って気にした風もなく、ワシの後をピタリとついて歩いてくる。


はぁ〜、負けるな。

もうワシは負けない。

ハルンには強気で行こう!

足も手も出しながら行こう!!

ワシは気合いを入れ、アリカ達を探した。



それから少しして船は動きがし港を離れだした。

『またなー!!』

大きく手を振っているアリカにワシも負けじと大きく手を振り替えした。

徐々に小さくなっていくアリカにワシはこれからの不安を胸にしまい込みながら手を振り続けた。


………………


………




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