*シグア視点。


……時間がない。

早くこの場から遠ざけねば……。


『シグア!儂も行って本当に良いのか?』

自室の窓から空を眺めていればリグアがハシャギながら私の部屋に入ってきた。

『ん?私が冗談を言うと思うかの?』

可笑しそうに笑ってリグアを見た。

すれはリグアは激しく横に首を振って嬉しそうに笑って言った。

『シグアは優しいからの!嘘などつかぬよ!』

ニカッっと笑って言うリグアを見て私の胸の中がチクリと痛みが走った。

その痛みを誤魔化すように私はリグアに背を向け言った。


『…はぁ〜、わかったから早く準備をしとけ。』

今の自分の表情を見られてはダメじゃ。

自分は作業をしているフリをし、いつも通りを装った。


『ん、わかった!!邪魔して悪かったの!帰って来たら旅の話を聞かせてやるぞ!』

『わかったわかった!はよ行け。』

『じゃあの!!』

バタンッ


リグアが部屋から出ていき、足音が遠退いていく。

『………………リグア…私は…。』

水晶の置かれた机に手を置き、悲哀に満ちた目をしながら水晶を眺めていると扉を小さく叩く音がした。

その音に顔を上げ扉に歩み寄り扉を開けた。

『…誰じゃ。』

『…私。』

『カゲ?』

扉を開けた先にいたのは意外な人物だった。

いや、意外ではないか…。


カゲを室内に入れ、カゲを見る。

『どうしたのじゃ。旅支度は済んだのか?』

腕を組んでそう言うとカゲは口を開いた。

『…何か、あったの?』

不安げな表情をしながらカゲがそう言うとシグアはため息をついた。


…やはりこやつらにはバレるか…。

まあ、あの夜に話したから余計に、か。


『…カゲ、ロウ。こっちに来い。見せたい事と話したいことがある。』

そう言ってシグアは水晶の所へとカゲを誘導した。


…………………

…………



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