何度、泪を流しただろう


太刀丸井と短刀仁王


体中が痛い。しくじった。まさか今回の出陣でこんなにも深手を負うとは。

「おい仁王、主に報告は」
「……こんなボロボロの姿、主に見られとうない」
「俺はいいのかよ」
「ブンちゃんは軽傷じゃろ、はよ主んとこいってきんしゃい」
そういうことじゃない、とブン太は思ったが、この状態の仁王に何を言っても無駄だろう。ブン太は自分の羽織を仁王に被せて、主には適当に誤魔化しとくからはやく手入れ部屋行け、と背中を軽くをたたく。
「それぐらいで主はおまえのこと見捨てたりしねぇよ」

仁王は無言のままブン太を見送る。ブン太の羽織は太刀相応に立派なもので、短剣である仁王には不釣り合いだ。

「どうして優しくするんじゃ」

本当はこんな姿、いちばん見られたくなかったのはおまえだっていうのに。



END.
2014/02/08
title by 輝く空に向日葵の愛を
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