ごめんね、ひどくしたい


※オメガバースパロ
幸村→アルファ・仁王→オメガ



生まれつきだから仕方が無いって皆簡単に言うけれど、仮にそうだとしたらこの世はなんて不平等にできているんだろうと、そう思うのは必然である。

「本当、可哀想だよねぇオメガは」

皆に隠れて部室の隅で薬を飲む仁王を見ながら、幸村は言う。仁王はそんな幸村を軽く睨みながら、錠剤をミネラルウォーターで喉に流し込んだ。
「生理現象にどうこういうても仕方ないじゃろ」
オメガの中でも仁王の発情期はかなり不定期で、予測をするのが非常に困難だ。いつ発情期が訪れてもいいように、仁王は常に抑制剤を携帯している。
「仁王も他のオメガみたいにアルファとセックスすればいいのに」
「そんなことしても、虚しくなるだけじゃ」

幸村はつまらなさそうな顔をして、わずかに頬をふくらませる。
「仁王って、変わってるよね」
「なにが?」
「オメガの癖に、アルファに媚びない」
項にするりと手を回して、幸村は仁王の顔をのぞき込んだ。
「セックスしよう仁王」
「断る」
「じゃあ言い方を変えるよ、」

俺とセックスしろ、仁王。

幸村の氷のように冷たい声が、仁王の鼓膜に染み渡っていった。



2015/03/04
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