ただ淋しさは、残る。


「ブンちゃん、て、つないで」
 瞼を縁取る細長い睫毛が何度か上下して、仁王の瞳がじっとブン太の顔を覗き込んだ。仁王はどこか浮世離れしている。そこにいるのに、まるでここにいないような。ブン太は時折不安になるのだ。目を離した隙に仁王がどこかへ消えてしまうんじゃないか、と。
「あったかいのう、ブンちゃんは」
 ひんやりと冷たいてのひら。指先を縁取るように撫でて、男にしては細い仁王の指に自らの指を絡めた。
「仁王は冷たいな」
「心があったかいんじゃよ」
「俺はつめたいって?」
「あっためてあげよか?」

ブン太は手を握り直して、仁王の体温を搾り取るように、離すまいと力をこめた。



End.
2015/02/11
title by ネイビー
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