■ 青い夜にきみと

 幼馴染みというのは酷く便利な建前だ。やはり親からすれば真田と幸村は四歳からの付き合いの仲の良いおともだち、という感じらしい。いざお泊まりしようとなるとなんの問題もなくとんとんと話が進んで、前日に言い出したにも関わらずあっさりとお泊まりは決行された。
 今まで何度も来ているのもあって幸村はこっそり真田のお泊まりセットのスペースを作っている。必要最低限の日用品やゴム、あとは着替えなど。使用する度にゴムをこっそり買い足しているのは真田には内緒だ。
 ごはんとお風呂を済ませてお客様用の布団と床にしいたところで幸村と真田はベッドにもつれこむように倒れ込んだ。発育のいい中学生二人の重みにスプリングが悲鳴をあげるのも気にせずに馬鹿みたいに唇を合わせる。
「ん……」
 最近は委員会やら部活やらで二人の時間がまったくとれず、真田の欲求不満もかなりたまっていたようだ。実をいうと今回のお泊まりも真田から言い出したものだった。
「ちょっと真田…がっつきすぎ」
「む、」
「もう、そんな顔しないでよ」
  不満そうな真田に幸村が苦笑してみせる。
 真田は余裕がなくなるとどこまでも貪欲になる傾向がある。キスも長いし、抱きしめる力も強い。幸村は真田が時折見せる強引さも好きであるのだけれど、やはりいちばん好きなのは優しくされること。おそるおそる割れ物を扱うようなたどたどしい指先がとても愛おしい。優しくされるのは好きだ。真田からなら、なおさら。
「そんなに急かさなくたって、俺は逃げたりしないよ」
 安っぽい余裕をちらつかせて真田をからかったりもするけど、結局欲望に負けてしまうのはいつも幸村の方だ。
 キスだけじゃ足りない、と。そう一言いうだけでたがははずれる。あとはなし崩しに快楽に溺れて、互いをむさぼりあう。
「すきだよ。ずっとすき」
 恥ずかしそうに伏せられる瞳が、少し汗ばんだ肌が、真田のすべてが、愛おしくてたまらない。
 明日またドラッグストアにいってゴムを買い足そう。明日は休日だから一回では済まないかもしれないな。
 真田の体温を感じながら、幸村はそんなことを考えた。



End.
title by 休憩
2013/1/26

[ prev / next ]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -