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《side Detectiveboys》
「流石現役FBI捜査官。やーるね」
「君たちどうして?」
隠れていた個室からコナンが出ていくとFBI捜査官のジョディ先生が口に貼られていたガムテープを剥がしているところだった。
「光彦の預金付き合って来たんだけど、元太が腹壊してトイレ来たら」
「ドーンって大きな音がして」
「トイレの中で隠れていたんです」
「もう腹が痛いのは治まりました」
後ろでフランがランボにダレ?と聞きFBIだってさと答えているのが聞こえた。
今はそんなことを考えている間ではないが、マフィアにとってFBIは敵のようなものではないか?と考えてしまう。
けれどすぐに気を取り直してこの銀行強盗について訊ねる。
「で、強盗犯は何人?」
「五人よ。全員銃を所持しているわ」
「やっぱり狙いはお金?」
「ええ。持ってきたケースにお金を積めろって言ってたけど」
「ふーん」
「怪しいわね。客を知り合いやツレごとに別けたり、お金積めるのに支店長一人に指示したり、それに全員妙に時間を気にして」
手を顎に当て考え込むように話してくれていたジョディ先生がハッとしたように声をと切らす。
「人の気配がする」
「隠れてくださーい」
ランボとフランの注意でその理由が分かり、またしても歩美達から順に個室に隠れさす。
その間にジョディ先生は片言の日本語を大きめの声で話して自分の存在を注目させ、コナン達に気づくことないようにしてくれた。
「気にしてるけど、全員一人でやっつければノープログレム。頑張れ私、勝負はこれからでーす」
「いいんだよ。お前は頑張らなくて」
ビリッと大量の電気が流れた音と誰かが倒れた音。
ジョディ先生がスタンガンで気絶させられたのだと推測出来た。
そして、強盗犯と思われる二人分の会話が聞こえてくるのをバレないようにじっと聞く。
「はっ、気になって様子を見に来ればこんな様かよ。駄目だ。完全に伸びてやがる。運ぶのは骨っすよ」
「そんな時間はねぇ!目出帽とジャンパーを剥いでベンキに座らせておくか。トイレに隠れていた客が犯人に見つかって隠れたように見えるだろう。オイそっち持て」
「しかし何者なんすかねぇその女」
「さあな。まっ、その女がどこの誰かなんてもうどうでもいいだろ。どうせ吹っ飛んじまうんだからよ」
「そりゃそうだ」
吹っ飛ぶ?強盗犯達の言葉を頭の中で反芻させる。
随分と物騒な言葉だ。
何処かに爆弾でも仕掛けているのだろうか?
それも時間を気にしてるってことは時限爆弾か何かの可能性が高いかもしれない。
でも、何のために?
足跡が遠ざかったのを確認してから隠れ場所から抜け出した。
気絶したジョディ先生の姿もなく、ただ隠れていた個室の隣の個室を開けるとジョディ先生が倒した強盗犯の一人が覆面とかを外された上で放置されていた。
「どうしよう。ジョディ先生捕まっちゃった」
「俺達でアイツラをやっつけるっきゃねーな」
「でも、相手は五人もいるんですよ」
歩美、元太、光彦の不安そうな声にコナンは自信満々に答える。
「いや、四人だよ」
「「「うん」」」
決意したように頷いた三人にニッと笑ってみせる。
と、そこで雰囲気を壊すような口調でフランが喋り出す。
「つーかー、何でFBIと知り合いなのあんたら?」
「確かコナンの居候先の娘の毛利蘭さんの学校の教師を一時期やってた関係があるって資料に書いてあったもんね。読まなかったの?」
(資料ってなんだよ?オイ)
「シショーに最低限読みなさいーって言われた所にはなかったですねー」
「やれやれ。彼女はジョディ・スターリング捜査官。アメリカのFBI所属。今は表向きには休暇中で日本滞在」
「なーんか引っ掛かりますー。表向き?」
ランボがフランの耳元で何か囁く。
「それ答えになってない」
「気にしたら負けなんだもんね」
コナンが工藤新一だと知らている時点である程度調べられていることは分かっていたが、あまりいい気はしない。
「ランボにフラン、作戦を伝えるぞ!」
だからコナンはその会話を終わらせるように言葉を投げ掛けた。
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