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走る走る。
以前の社交界にて不埒を働いた奴らの元を叩いてみれば十分にボンゴレの掲げる制裁対象に含まれていた。
それどころか未遂とはいえドン・ボンゴレの命を狙ったのだ。
理由はそれだけで十分。
リョーマはヴァリアー雲の幹部としてその壊滅の指揮に当たっていた。
突き止めた奴等の本部を奇襲し、今は逃げ出してしまったボスとその側近を数名の部下と追跡中だ。
「抜け道から目を逸らすとか馬鹿?」
「すみませんっリョーマ様」
何でもそこに配置していた隊員が爆発音に気をとられている間に逃げ出したとか。
建物に残る雑魚は他の部下に任してヴァリアークオリティーで追いかける。
そして、奴等の進んだ方向にリョーマは僅か目を細めた。
そのまま進んだ先にストリートテニス場があるのだ。
そこは昼間に先輩達から誘われた場所でもある。
流石にもう帰っただろうけれど、自分と彼等の違いを指摘されるようで嫌だ。
だから、ようやく残滅対象達が足を止めた気配のした場所から他の人達の気配も感じた時に心に焦躁が走ってしまったのは仕方のないことだ。
「やっと追い詰めた。もう終わりだね」
一般人達の方を見ずにただ標的の前に出れば、銃を向けられた。
一般人達はきっとこの尋常ならざる状況に逃げてくれればいい。
「追い詰めたのはどっちだ?」
「へぇ。まだ逃げられる気でいるの。それとも人数で勝るから?」
嘲るように笑う。
部下には状況を見て出てこいと伝えてあるから、標的は俺が一人だと勘違いしたのだろうか?
最も一人でも楽勝な相手、威嚇射撃か知らないが打ってきた相手とついでに数人巻き込んで刀を奮う。
……峰で。
一般人達さっさとどっかいってくれないだろうか。
ヴァリアー一の常識人を語る身としては──といってもあくまでヴァリアーの中でだが、出来るだけ単なる一般人の前ではなるべく殺しはしたくない。
今更自分にとってはどうということもないが目の前で人が死ぬというのはかなりの衝撃らしい。
とりあえず相手を気絶させたが面倒だ。
「あと五人」
「っ!!」
恐怖を煽るように言えば、ボスたる標的が息を呑んだ。
だから、自分はさっさと任務を遂行すればいい。
「え、ちぜん……?」
けれど、驚きと怯えの混じった声に動揺した。
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