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3

表、テニス関係の知り合いをあしらって先ほど感じた気配を辿るように歩く。

会場からも抜け出し駆け出したリョーマが見たのは何人もの見知らぬ男達とそれと戦う雲雀に獄寺、近くのベンチに座る綱吉だった。

少しだけ迷い、結局ベンチの綱吉の元へ向かう。


「出遅れた。俺の出番もうないじゃん」
「あははそうだね。で、何で約束破ったの?リョーマ君」


約束とは雲雀といることだろうか?


「雲雀さんから聞いてないっすか?」
「うん。聞いてないな。俺らが来たときにはもう、咬み殺す!っていう直前だったんだよ」
「…知り合いがいた。テニス繋がりの」


言いながら隣に座る。

彼もまた戦う二人に助力はいらないと判断しているのだろう、何も言われない。


「部活の仲間とか?」
「他校。何度か試合したり合宿重なったりしたことのある氷帝」
「あー、もしかして自分のこと俺様って言っちゃってる人がいるとこ」
「そう、それ。跡部さん」
「うわぁ。大変だったね」


ホントッスよと軽く返事して華やかなパーティー会場から切り離された闇とでも言うべきこの一画から目を離さずに声を低めた。


「で、この人らは?」
「さあ。俺の名前を出してきたから、どっかのマフィアとかヤクザとかなんじゃないかな」
「ふーん。弱いすぎ」


パーティー出席者に余計な心配をかけないための配慮か知らないが、というかこの程度の相手じゃ必要ないのか雲雀も獄寺も炎を使っていない。

どころか獄寺なんてダイナマイトも使っていない。


「こらこら。俺たちの基準で話したら弱いのばっかになっちゃうよ」
「まあそりゃそうっすけど。って自分が強いって認めたってわけ?ようやく?」
「悲しいことにね。俺は平凡が好きなのになあ」
「ご愁傷様。綱吉はもうどっぷりこっちの人間でしょ」


綱吉と話している内に、目の前の庭園はあらかた倒しきり立っていられるのが雲雀と獄寺だけという静けさを手に入れたようだ。

否、今度は二人が戦い始めようとしている雰囲気が醸し出されている。

リョーマは立ち上がり一歩前に進み出ると振り返った。


「命令は何?ボンゴレ」
「彼らの所属と所業を調べて。そして対処を」
「Si」




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