「……シズちゃん、何それ。」
「…何か、俺への誕生日プレゼントだって…//」
「………それ全部?」
今日は1年で1番の大イベントである、
記念すべきシズちゃんの誕生日!
完全予約制の超高級レストランで祝おうと、
シズちゃんとサンシャインで待ち合わせていたのだが、
待ち合わせ場所に居たシズちゃんはこれからレストランに行くとは到底思えない程の大荷物を抱えていた。
まあレストランに行く事はシズちゃんには内緒にしてあるんだけどね。
「…ごめん、どれが誰からのプレゼント?」
シズちゃんの可愛い両手を占拠する沢山の紙袋に頭痛がする。
シズちゃんは照れくさそうに説明し出した。
「まずこれがトムさんとヴァローナがくれたバースデーケーキ、これが竜ヶ崎と和田と園原がくれたシュークリーム、こっちはセルティと新羅がくれた特大プリン、こっちは門田達がくれた何かよくわかんねえ饅頭と羊羹、このドーナツは九瑠璃と舞流と茜、ロールケーキは千景、カステラは四木さんと赤林さん…後サイモンから寿司無料券を貰った!//」
なん…だと!?
確かにシズちゃんは可愛いし魅惑的だ、
まさに池袋に舞い降りた天使といっても良い!
だがまさか、こんなにも愛されているとはっ!!
しかもみんなシズちゃんの好み把握してるし、
何気にこれ全部超有名店の菓子ばっかじゃん!!
しかもしかも、サイモン!!
寿司無料券って何だよっ!?
茜ちゃんは解るけど四木さんと赤林さんも何やってんの!?
俺が驚きで立ち尽くしている間、シズちゃんは徐に懐から小さな紙袋を取り出した。
「?何それ、それも誰かからのプレゼント?」
「ん〜何か園原に別れ際にこっそり渡されたんだ。」
カサカサと音を立てて開けると、
何と中から日本刀を象った小さなキーホルダーが出てきた。
って、これもしかしなくても罪歌から!!?
「キーホルダーか、初めて貰ったな…//」
ああああ、何満更でもないって顔して携帯に取り付けてんのさ!!
全く何可愛い笑顔振りまいてんのハアハア!!v
「臨也、悪ぃけど俺一旦家に帰る、すぐ戻ってくっから。」
「…良いよシズちゃん、お出掛けはまた今度にしよ!」
「えっ?」
「シズちゃんの家で、2人っきりで過ごしたいからさ!」
2人っきり、を強調して言ったらシズちゃんが顔を真っ赤にして頷いてくれた。
それだけで俺の中でモヤモヤしてた黒いモノが消えていく。
シズちゃんのこんな表情を見れるのは俺だけだと、
優越感と幸福感を噛み締める。
「あっシズちゃん、荷物持ってあげるよ。」
「?別にこれくらい…。」
「良いから良いから!v」
シズちゃんの腕を占拠する忌々しい紙袋(の群れの一部)を、
ちょっと強引に奪い取る。
シズちゃんは不思議そうに首を傾げてるけど、
俺は笑顔で空いてる方の手を差し出した。
「手、繋いで行こ?v」
「なっ!//」
「偶には良いでしょ?ねっ?」
一瞬も笑顔を崩さず、
シズちゃんが手を握ってくれるのを待つ。
暫くシズちゃんはあたふたと周りを見回していたけど、
意を決した様に深く息を吐いて俺の手を弱々しく握ってくれた。
顔は苺みたいに更に真っ赤になっていてサングラスの奥の瞳なんか潤んでいる!
これは誘われてるよね!v
「なっなあ、臨也…//」
「ん?なぁに?」
「あ…っ…ありがとな//」
「…………へっ?//」
「その…一緒にいてくれて…さ//」
!?シズデレきたあああっ!v
滅茶苦茶可愛いよ果てしなく可愛いよシズちゃん愛らしさ最強だよシズちゃん!v
しかし此処で興奮状態になったら折角の良い雰囲気が台無しになるから、
俺は理性を総動員させて笑いかける。
「当然でしょ?シズちゃんは俺の可愛い可愛い恋人なんだからv」
「かっっ…ばかっ//」
ぷいっと顔を背けたって、
顔と同等に真っ赤な耳と首筋が見えてるから意味無いのに、
本当に可愛いな〜v
「さあ着いた!早く中に入ってイチャイチャしようよ!」
「おまえな…。」
ちょっと呆れ顔になってるけど気にしない!
だって中に入れば誰にも邪魔されない、
デレデレなシズちゃんと思う存分イチャイチャでき……?
「…シズちゃん、これ何?」
「ああ、今朝早く幽から送られてきたんだ、可愛いだろ?//」
「ああうん、義弟君から…。」
シズちゃんの倍はある巨大テディベアに抱き付いて幸せそうに頬ずりするシズちゃんは確かに可愛い。
でもまさか、義弟君が菓子じゃなくて形に残るモノを贈るとは…!
シズちゃんに凄く似合ってるから黙ってるけど、
正直あのバーテン服だって許せないのに…!
俺はテーブルの上を占める沢山のプレゼントとテディベアを、
そしてテディベアに身を任せて幸せそうに寛いでるシズちゃんを見て…。
「シズちゃん…。」
「ん〜?」
「誕生日おめでとう…。」
END
〜あとがき〜
静雄、誕生日おめでとう!!
という訳で静誕を記念して書きました!
静雄は池袋に愛されてます!
天使です!