「シ〜ズちゃん!」

人混みの中から聞こえた声に静雄は歩みを止めた。
軽快な足音が近付いてくる事に眉を寄せ、後ろを振り返った。

「シっズちゃあああっん!v」

にこにこ笑いながら走ってくる臨也。
周囲に蠢いていた通行人達は、その光景に顔を歪め、
同時に臨也が走る先に静雄が居るのを見て慌てて距離を取った。
静雄と臨也が揃ったら其処は戦場、池袋の常識だ。

「臨也…」

満面の笑みを浮かべて静雄の前にやってきた臨也。
静雄の額に青筋が浮かぶ。

「池袋に…くんなって何度言わせんだあああっ!!」

ガコッと鈍い音が鳴った瞬間、池袋では最早お馴染み、
自動販売機が宙を舞った。

「あははは、シズちゃん今日も絶好調だね〜!v」
「うぜえうぜえうぜえうぜえっっ!!」
「ほらほら、鬼さんならぬシズちゃん、手の鳴る方へ〜!」
「いぃいざぁあああやぁああっっっ!!」

踵を返して素早く逃げていく臨也を、静雄はゴミ箱を片手に追い掛ける。
沢山居る通行人は慌てて脇に身を寄せて2人に道を開けた。
………………………
暫くして静雄は狭く入り組んだ路地裏に来ていた。
持っていたゴミ箱は路地裏に入る際に邪魔になって捨てた為、
現在静雄は手ぶら。

「くそっ、こんな所に逃げ込みやがって!」

きょろきょろと辺りを見回し臨也を捜す。
そんな静雄の背後に忍び足で迫る黒い影。

「シズちゃん!」
「Σひゃっ!」

突然あらぬ所に感じた衝撃に、思わず上擦った声を上げた静雄。
臨也はにやにやしながら羞恥に顔を赤く染める静雄を見た。

「ひゃっ!だって、シズちゃん可愛い〜!v」
「やっやめろノミ蟲野郎!何処触ってやがんだっ!//」
「何処って、シズちゃんの柔らかいおし「黙れっ!!」」

当然とばかりに自分の尻をむにゅむにゅと臨也に、
静雄は渾身の力を込めた肘鉄を食らわせようと体を大きく捻った。
だが当たる直前に避けられ、静雄はまるで自ら抱き付く様に臨也の腕におさまった。

「なっ!?//」
「わあ、シズちゃんったら大胆!v」

顔を真っ赤にして離れようとする静雄を抱き締め、
静雄の首筋に顔を埋める臨也。

「っいざ「会いたかったんだ…。」!?」
「暫くさ、俺…此処から離れなきゃならないんだ。」

先程までと違い寂しそうな臨也の声に、
静雄は抵抗を止めて臨也を見下ろす。

「…どれくらいだ?」
「…最低でも1ヶ月、仕事で…さ…。」
「……そう、か。」

ギュッと静雄を抱き締める腕に力を込め、
これ以上無いという程に体をくっつける臨也。

「だからさ、俺が居ない間…浮気…しないでね?」
「…するか、馬鹿。」
「襲われない様に気を付けてね?」
「てめえ以外、誰が俺を襲うんだよ。」

何処か子供の様な表情で見つめてくる臨也に苦笑し、
静雄はそっと臨也の背中に腕を回して抱き返した。

「帰ってきたら、1発殴らせろよ。」
「え〜?シズちゃんの1発を食らったら俺死んじゃうよ〜。」
「良いじゃねえか。」
「よくないよ!そしたらシズちゃん未亡人になっちゃうじゃん!」
「何でだよっ!!」

誰もいない所で、
時間がくるまで、
次に会う時まで…。
………………………
〜あとがき〜

初臨静小説でした〜…すみません!
結局何が言いたいんだって感じですね。
お目を汚してすみません〜!
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