「はいシズちゃん、白詰草をいっぱい摘んできたよv」
「……自分の御飯くらい自分で採りに行くぞ?」
「だから、何度も言ってるでしょ?安静にしてなくちゃ駄目なの!」
「む………。」

あれから3日経ちました。
静緒は臨也に大事に大事に看護されております。
水は洞穴内に蓄えが有り、食料も毎日臨也が採ってきてくれるのです。

静緒は余りに甲斐甲斐しい臨也に申し訳無くて何度も遠慮しましたが、
当然臨也は聞き入れません。

「傷がそんなに深くなくて良かったね、これなら痕が残らずに済むよ。」

包帯を換えるのも臨也がします。
真っ白で綺麗な脚を見つめながら包帯を巻く臨也は無意識に舌舐めずりをしますが、
幸か不幸か静緒は違う方に顔を向けているので見ていません。

「…なあ臨也、臨也は何でそんなに私の面倒を見てくれるんだ?」

出会った日から気になっていた事を静緒は訊ねてみました。
出会った日に彼が言っていた、自分(兎)と臨也(狼)の関係。
聞いた通りならば、
此処まで懇切丁寧に世話をする必要は無いはずだと思ったのです。

「言っただろ?君は俺の獲物だって。」
「………。」
「食べる前からボロボロな獲物なんて嫌だからね。」

にやりと鋭い牙を見せて不敵に笑う臨也。
静緒は震えましたが気丈にも臨也を睨み付けて、
臨也にとって信じられない言葉を発しました。

「ふんっ、おまえなんかに負けるもんか!逆に私がおまえを食べてやる!」
「…………は?」

今までこんな兎が居ただろうか?と、
臨也は唖然としながら思いました。
今まで臨也が食べた兎(他の獲物も)はみんな、
ガタガタと怯え醜く命乞いをしてきました。
しかし静緒は恐怖を感じながらも立ち向かおうとしております。

「私を襲ってみろ?返り討ちにしてやるからな!」

長い耳は垂れ下がっていますが、
大きな琥珀色の目を吊り上げて威嚇する静緒。
そんな静緒を見て、臨也は思わず笑いで吹き出してしまいました。

「なっ、何だよ!?」
「あっはは、草食の君が肉食の俺を食べるの?それとも別の意味で食べるって言ってるの?」
「別の意味?」
「くくっ、いやいや、気にしなくて良いよ!」

臨也はまだ笑いながらも、
訝しげに自分を睨んでいる静緒の細い腰に腕を回して抱き寄せました。
突然目の前に迫った臨也の顔に静緒は目を丸くします。

「っ!?」
「安心してよ、まだ食べないから。」

ギュッと細くも柔らかい静緒の体を片腕で抱き締めて、
空いてるもう片方の手で真っ白な耳に触れます。

「んっ…、また味見か…?」
「そうだよ…でも、今日は耳じゃなくて、こっちが良いな。」

そう言うと臨也は、静緒のふっくらと艶めいたピンクの唇を爪先でなぞります。
静緒は首を傾げて臨也を見ます。

「口?」
「そう、シズちゃんをもっと味わいたいんだよ。」
「?よくわかんねえけど、味見させんのは約束だし…良いぞ。」

此処に来た日に交わした約束、
面倒を見て貰う代わりに毎日味見をさせる。
静緒はそれを律儀に守っていました。

多少口調は乱暴でも、
静緒は優しくて義理堅い性格なのです。
いけ好かないが自分を過剰なくらい甲斐甲斐しく世話してくれる臨也に、
静緒は無意識にですが心を許し始めていました。

静緒は、臨也がこれから何をするのかと、ジッと伺います。

静緒にそのつもりはありませんが見つめ合う形になり、
臨也はまるで吸い込まれていく様に静緒の唇に己の唇を近付け、口付けました。

「!?」

未体験の感触に静緒の体は目を大きく見開きます。
その琥珀色の瞳を見つめながら、臨也は舌を出して静緒の唇をペロペロ舐め出しました。
時折傷付けない様に鋭い牙で甘噛みもします。

静緒は目をギュッと瞑って堪えていましたが、その内、
休む事無く舐められ続けて静緒は息苦しくなってきました。

「ん、んぅ…ふは…っ!?」

息を吸おうと口を開いた瞬間、
ぬるりと熱く濡れた塊が入ってきて驚愕しました。
静緒の咥内に侵入した臨也の舌は、
奥に引っ込んでいた静緒の舌を絡んで誘い出し、
くちゅくちゅと水音を立てて暴れ回ります。

「んぅ…ふっ…は…ぁ…!」

やめさせようと臨也の胸に手を当てて押し返そうとします。
しかし未体験の快感に静緒の体は震えて力が抜け、
臨也に全身を預ける形になってしまいました。

「(なん…これ…頭が、ぼぅってする…)ふぁ…ん…んぅ…。」

次第に快楽に酔い始めた静緒は、咥内を蹂躙する臨也の舌に自分から舌を絡めていきました。
一瞬驚いた臨也ですが、にやりと口角を上げて更に静緒の咥内を犯していきます。

そして最後に静緒の体をギュッと抱き締めると、
静緒の舌を強く吸いました。
腕の中でピクンッと跳ねる静緒ににやりと笑いながら、
臨也はそうっと体を離します。

「ごちそうさまシズちゃん、耳もだけど口も甘いんだねv」

目がとろんとし紅潮させたとろけた顔、ふにゃりと長い耳が垂れ下がってしまった静緒の頬に軽くキスをします。
すると静緒はまだぼんやりとしながらも、
臨也の胸にすり寄りました。

好んでずっと独りだった臨也は胸に湧き上がってくる温かいモノに戸惑いつつ、
静緒を優しく優しく抱き締めました。

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -