※弟臨也×姉静緒です。

俺には好きな人が居る。

ずっとずっと、子供の頃からその人が好きだ。

女にしてはスラリと高く細い体、
腰まで伸びた金色の髪、
化粧1つしていないのにアイドル以上に綺麗な顔、
鈴の様に凛とした声、
男勝りというより男前な性格なのに天然な美少女。

「…シズちゃん、ちょっと良い?」

静緒と書かれた可愛らしいネームプレートが掛かった部屋をノックする。
中から短い返事がきたので中に入った俺は、目のやりどころに困った。

「シズちゃん…またそんな格好で…。」
「…何だよ、これが1番楽なんだから別に良いだろ。」
「…カーテンまで開けて、きっと誰かに覗かれてるよ。」
「そんな訳あるか、私みたいなちっさい胸を誰が好んで見るんだよ!」

シズちゃんの格好は、上がキャミソール下はホットパンツという下着同然な格好なのだが、
本人は自分がどれだけ魅力的な女かを全然理解していないから平然としている。
シズちゃんは確かに平均にも満たないくらい胸が小さいが、
そんなの何のハンデにもならないくらい可愛いんだ。

実際学校では学年問わず男子に大人気、
毎日告白され、ミスコンも2連覇…いや絶対3連覇になる。

そんな彼女に俺は何年も片想い中だ。

「それより臨也、好い加減にしろよ?何度も言ってんだろ、姉さんとか姉貴って呼べって。」

そりゃあそうだ。
だって彼女は、俺の実の姉なのだから…。

「今更もう良いじゃん、シズちゃんはシズちゃんだよv」
「ったく……で?用は何だよ?」
「…えっとさ、今日も告白されたでしょ?」
「またそれか、それなら何時も通りだよ。」
「そっか…!」

大人気過ぎる彼女だが、
今は恋愛に興味が無いらしく全ての告白を断っている。
それでも不安な俺はこうやって毎日聞きに行く。
この想いを告げる気は一生無いのに、
やはり心の何処かで望んでいるのだろうか?

「私の事より、おまえの方はどうなんだよ?少しは上手くいってんのか?」

シズちゃんは鈍いながらも、
俺に<好きな子>が居る事は感づいたらしく、
時々こうやって聞いてくる。

「…相変わらずだよ。」
「話はしてんだろ?」
「まあ…毎日ね。」
「ならデートに誘うとかすりゃあ良いのに…よくわかんねえけど、辛くねえの?」

気遣う様に、俺の顔を下から覗き込むシズちゃん。
俺は胸がズキッと痛んだが無視して、何時も通りの笑みを浮かべた。

「べっつに〜?その内必ず堕とすから、今はこの生温い関係を楽しむよ。」
「おまえな…。」

呆れ顔な彼女に笑う。
半分の嘘と半分の本当を見せて笑う。

そんなある日、学校中を巻き込む大きな出来事が起きた。

「シズちゃん…。」
「臨也?」
「本当…なの?告白、したって…。」

デタラメだと…!
嘘だと言って欲しい!

「…ああ、実はずっと前から…その…好きだったんだ、でも私なんかじゃ駄目だろうなって…諦めようとしてたんだ。」

<好きな人>が居たの…?
ずっと前から…?

「でも…やっぱり辛くて、柄にも無く告白したんだ…そしたら…俺も好きだって言ってくれた!」

シズちゃんのこんな笑顔、知らない…。
シズちゃんって、こんな顔もするんだ…。
知らなかった…シズちゃんに<好きな人>が居たなんて…。

「臨也もさ、駄目もとでしてみろよ…告白。」

俺はシズちゃんの何を見てたんだろ?
シズちゃんは…まさか自分だとはこれっぽっちも思ってないだろうが…俺に<好きな子>が居るって気付いた。
俺は、その<好きな子>に<好きな人>が居るなんて…全然気付かなかった。

「……無理だよ…。」
「臨也?」
「俺、ふられちゃったもん…姉さん。」

END

〜あとがき〜

初の悲恋を書いてみました。
何だかありきたりな設定ですみません…orz
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