俺の恋人、平和島静緒はモテる。物凄くモテる。
力は強いけど顔形は整っているし、基本的に皆に分け隔てなく優しいし、腰付きもエロいし、胸は大きくて柔らかいし、お尻だって小さいし、声だって可愛いし…あ、なんか思い出したらムラムラしてきた。
要するに、俺はシズちゃんに集まる邪な視線が酷く嫌いな訳だ!しかも当の本人はそれに気付いてないし!ホントにタチが悪い!
金髪のバーテンダーの服を着た女性が歩く度に、必ず周りの男たちは振り向いて鼻の下を伸ばす。
恋人である俺としてはそりゃもう面白くない訳で、手短に言えば、
「解せぬ!」
ってことだ。本人が気付いていれば本人がイラッとしてぶっ飛ばすだろうに、気付いていないんだもの!あんなあからさまな視線に気付かないなんてどれだけ天然なの!天然記念物に登録すべきだと思うよ!君もそう思うだろう?
「ま、そんなシズちゃんが好きなんだけどね。」
黒を知らないシズちゃんに、これからも黒を知らせるつもりはない。だから俺がシズちゃんを守る。
シズちゃんを襲いそうな要注意人物を地獄に落とす。そして折原臨也がやったと知らしめる。そうして、俺がシズちゃんの彼氏だということを見せつければシズちゃんを見て鼻の下を伸ばすような奴は居なくなるだろう。
だが、現実は甘かったのだ。
「…何をそんなにイライラしてるんだ?」
また解せぬ!と叫びたくなった。平和島静緒という人間はどうしても注目を集めてしまうみたいだ。
シズちゃんの頭に乗っているのは猫。幽くんが飼っている猫だ。その猫の可愛らしさとシズちゃんの美人さが男女共に注目されてしまっている。
男に至っては明らかにシズちゃんを自分のものにしようという感情が籠められてるし…!
そりゃあ、俺はシズちゃんと結婚するつもりだから義理の弟になる幽くんの飼い猫を批判する訳じゃないよ?でもこの猫のせいでシズちゃんに更に邪な視線が集まってしまってるじゃない!
幽くんは俺を疲労で潰したいのか!そんなことを言ったらシズちゃんに怒られそうなので、男女問わず怨みの篭った目で睨み付ける。シズちゃんは俺のものなんだからね!
「…カルシウム足りてないのか?牛乳飲めよ。」
シズちゃんが俺の顔を覗き込んで牛乳パックを差し出して微笑んでいる。
ああ、何て可愛い俺の恋人!さっきまでイライラしていた気持ちがイリュージョンのようにパッと消えてしまった。
「シズちゃん、ラブッ!」
ぎゅうっと抱き締めて人目を憚らずキスをしたら、シズちゃんが恥ずかしそうに笑った。すごく可愛い!
そうだ、こうやってイチャイチャしていればシズちゃんに下心を抱く輩は減るんじゃないだろうか。
ちゅっ、ちゅっとリップ音をたてながらキスを繰り返すと心無しかこちらに邪な視線は向かなくなった気がする。
「…シズちゃんは、俺のものだよね。」
腰に手を回してそっと撫でると、ぴくんと反応した。
「私を彼女にする物好きは、お前だけだ。」
茹で蛸のように顔を真っ赤にさせたシズちゃんが、俺に腕をまわしてそっとキスしてきて。ああもうこの天然小悪魔め、自分がどれだけモテているのか本当に気付いていないのか!
「静緒、愛してる!折原静緒になってください!」
と言いながら自分の人差し指にはめている指輪をシズちゃんの左の薬指にはめると、シズちゃんは小さな声で、
「……っは、い…」
と言った。まさかこんな公共の場所でOKしてもらえるとは思わなかったからプロポーズをしたこっちが驚いてしまった。
「平和島静緒は、たった今から折原静緒になりますっ!」
と叫ぶと、さすがに殴られてしまった。これでシズちゃんを変な目で見つめる奴は少しくらいは減ったかな!後はダラーズの掲示板に書いて、裏社会に情報を流せば安泰だ!
牛乳を飲んでいるとシズちゃんの頭に乗っている猫がこっちを睨んでいる気がした。牛乳を狙っているのか、それともシズちゃんをとられたことに対する嫉妬か、後者だったらこの猫も警戒対象だなと思い睨み返したらまたシズちゃんに殴られた。
(シズちゃんのブラコンもどうにかしなきゃいけないなぁ…)

END

1000hit企画にくれーぷ様にリクエストし、書いて頂いた臨也×静緒です。
猫を乗っけた天然小悪魔…折原静緒が凄く可愛いです!
原作でも早く2人が結婚すれば良いのに…←
くれーぷ様、ありがとうございます!
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