※裏要素有り

「さいけ、一緒に歌を歌お?」
「何歌うの?」
「これ歌いたい!」
「これ、演歌だよ!僕の得意分野じゃない…」
「さいけなら歌えるよ、歌うの上手いもん!」
僕の恋人、津軽はそれはもう可愛くて可愛くて仕方ない。
こんな可愛い生物が存在してもいいのかと思っちゃうくらいに。
僕たちのお母さん、静雄は津軽にそっくりだ。いや、実際は津軽が静雄にそっくりなのだけど。
静雄もかっこいいし可愛いと思うけど、やっぱり津軽ほどじゃないと思う。同じ顔だけど違う。
僕はそれほどに津軽を好きで、愛している。こういうのをゾッコンって言うんだっけ。
でも僕はその気持ちを伝える術を知らない。
「愛してる」と口に出して言うだけでは何か物足りない気がして。
そんなことを思っていたある晩、僕は声が聞こえて目を覚ました。
時計を見ると三時。臨也と静雄はこんな時間まで起きて何をしているんだろうと思い、二人がいる寝室を覗いてみた。
「あぁっ、ひ、う…いざや…」
「シズちゃん、愛してる…愛してるよ…」
二人は全裸で抱き合っていた。
でもいつもの静雄とは思えないほど高い声が静雄の口から出ていて。
しかも二人とも汗だくて、ゆっくりと腰を振っている。
一体何をしているんだろう?
「ぁ…ひっ…いざや、なん、で…今日はしないって…ふあっ!」
「ごめんねシズちゃん。でも、俺がどれだけシズちゃんのことが好きか知ってほしくてさ。」
「もう、知ってるから…!何回も、言われて、知ってるからぁ…!」
「言葉だけじゃ伝えきれないよ、身体でも伝えたくて!」
僕が津軽に対して思うように、臨也は静雄に言葉以外で愛を伝えたかったんだね。
じゃあ、今臨也と静雄がしていることは、言葉以上の愛情表現?
「っひ!も、伝えなくても、わかってる…ぁん!」
静雄も口では嫌がっているけど、頬を赤らめて気持ち良さそうな顔をしてるし。
やっぱりその行為が言葉以外での愛情表現なんだね!
愛情表現のやり方を知りたくて、僕は毎晩寝たフリをして臨也と静雄の寝室を覗いた。
やるときもあればやらないときもあった。でも、初めて見た時から一週間経つが、三回していたので大体の手順は覚えた。
でも不思議なことが一つある。
一度だけ臨也は静雄に手錠をかけて愛情表現をしていたことだ。
何故手錠をかけなければいけなかったのだろう?
よく見ると三回とも愛情表現の仕方が違う。
男性器を模した、小さい機械音をたてるものを静雄のお尻に入れたりしていた。
愛情表現だから、自由なのだろうか?
とりあえず、臨也が静雄に必ずすることを津軽にもしたら、僕は言葉以外にも津軽に愛を伝えることができるのだろう。

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テーマ「人外ファンタジー」
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