「あっ」
「あーあ、落としちまったな。」
「ふえ…しずおが作ったからあげ…ひっく……」
「泣かなくてもいいだろ、まだたくさんあるんだからよ。」
静雄が作った唐揚げをポロリと落としてしまい、今にも泣きそうな僕の恋人、津軽の頭を静雄がなでなでした。
今、僕は臨也の膝の上にいる。津軽は静雄の膝の上だ。椅子がないんだから仕方ない。
今の静雄と津軽のやりとりを見て本当の親子みたいだなぁと微笑んでいると、上から液体がぽたっと落ちてきた。
「親子みたい…すっごい可愛い…!津軽もシズちゃんも、ラブ!」
上から落ちた液体が僕の白いコートを赤く染め上げる。そう、臨也は鼻血を出していた。
「いざやぁっ!何してくれるのさー!お気に入りのコートがー!」
「シズちゃんも津軽も本当可愛いよね…池袋の天使だよね…」
両方の鼻に突っ込んだティッシュも真っ赤に染まって飽和状態になったらしい。
先ほど、静雄と津軽が同じエプロンを着て台所に立っていた時も本当の親子みたいに微笑ましくて可愛かった。
その時には既に臨也は鼻血を出しながら「同じエプロン、ラブ!」と言ってニヤニヤしていた。正直、気持ち悪かった。
僕も大人になったら臨也みたいになるのかと思うと、何とも言えない気持ちになった。僕はまともな大人になろうと誓った。“ハンメンキョウシ”って言うんだっけ?
「ほら、まだからあげあるから。あーん。」
「はう…あーん…」
「美味しいか?」
箸で唐揚げを摘まんで津軽に食べさせて、津軽がまだ涙目になりながらももきゅもきゅと頬を膨らませながら食べてる姿が可愛くて僕も鼻血を出しそうになった。
「しずおのからあげ、おいしい…ふえぇ…」
「拾って食べるなよ、お腹壊すぞ。」
「あう…だめ?」
「今日は一緒にお風呂に入ってやるから、我慢しろ。」
静雄がそう言った瞬間、津軽の顔がぱあっと明るくなった。
「しずおとお風呂!背中ごしごしする!しずおの背中、おっきくて大好き!」
いつもは僕と入ってるから、静雄と入るのが珍しくて嬉しいのだろう。他の男と入るなんてなんか複雑だけど、親子みたいなもんだからいいだろうと思えてきて。
「さいけ、明日は一緒に入ろ?」
「うん!絶対だよ、約束!」
「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーますっ!」
僕が差し出した小指に津軽が小指を絡めてにこにこと笑った。
「しずおとお風呂いっしょ!」
「そんなに嬉しいか?」
「うん!しずおと、おやこみずいらずー!」
「……!」
静雄がぎゅうっと抱き締めて、津軽が嬉しそうに「苦しいよー」と言っている。
それを見た臨也がまた鼻血をどばっと出して僕のコートが血まみれになっていく。
でもそんなことを気にすることもなく静雄と津軽が抱き締め合っている様子を網膜に焼き付けるように見つめる。だって可愛いんだもん!
「しずおを、今日、独占してもいい?」
「ああ、いいぞ。」
「!」
その会話を聞いていた臨也がぴしっと固まった。今日は静雄とイチャイチャできないね。僕はその気になれば津軽とイチャイチャできるもん。
「じゃあ一緒に寝る!」
「久しぶりに、みんなで川の字になるか。真ん中にサイケと津軽を挟んでさ。」
また臨也の鼻血が出始めた。僕も出そうになったけどなんとか堪えた。川の字で寝るなんて久しぶりだし。
僕と津軽は、本当に臨也と静雄の子どもみたいだ!家族って、こんな感じなのかな?すごく心が温まるね!

end

………………………
1000hit企画にくれーぷ様にリクエストし、書いて頂いた臨静+サイ津です!
同居シリーズという長編の設定なのですが、私はこのシリーズが凄く好きです!
くれーぷ様、ありがとうございます!
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