※来神設定

普段からシズちゃんだけを見つめてる私だから感じた違和感。
「ねぇ、静緒もそう思うよね。」
「……っえ?ごめん、聞いてなかった…」
「だから、セルティが可愛いって話だよ!」
いつもよりもシズちゃんが警戒している。喧嘩を売られることが多いシズちゃんにとって、そんなことは当たり前なんだろうけど。
でも私にはわかる。シズちゃんは喧嘩をいつ吹っ掛けられるかということを警戒してる訳じゃない。
その証拠に、さっきから何かを思い悩んだり顔を青ざめたりしている。
「シズちゃん、気分でも悪いんじゃない?」
「……っそんなこと、ないよ。」
私が話し掛けると急に繕った、偽りの笑顔を私に向ける。シズちゃんは優しいから、私に心配させないようにしてるのかな。
「シズちゃんをちょっと保健室に連れて行ってくるね。新羅、ドタチン、先生に伝えておいて。」
私はお弁当の蓋をして、シズちゃんのお弁当も奪って半ば強引にシズちゃんの腕を引っ張り屋上から出る。
「っかんら…?」
目を丸くして驚く様子を見て普段なら可愛いと思うだろう、普段なら。
でも私の頭の中はそんなことを考えられないくらいに焦っていた。
いつからシズちゃんはこんな表情をしていたのか。
私の頭の中はその一文が支配していた。
「誰もいないみたいだね、よかった。」
保健室に入って鍵をかけて、シズちゃんをベッドに腰掛けさせる。
「…どうしたんだ?甘楽。」
ほら、そうやってまた貼り付けたような笑顔で笑って。
「それはこっちのセリフだよ、シズちゃん。何があったの?」
一瞬だけ、その綺麗な顔を歪ませて。そして何もなかったかのように笑う。
「何が?」
「隠しても無駄だよ、何か辛いことでもあった?話ならいくらでも聞くよ。」
シズちゃんの横にぴったりと寄り添って、何としてでも聞き出そうと言葉を紡ぐ。
「シズちゃんの本当の笑顔はもっと綺麗だよ…私、シズちゃんの笑顔…見たい…」
腕にぎゅうと抱きつけば、シズちゃんの目から大粒の涙がぽろりと零れて。
やっと言う気になってくれた、良かったととりあえず一安心した。
「…言いにくいんだけどな、私…ストーカー…に…つきまとわれてる、みたいで…」
…………は?
「最初は郵便受けにラブレターみたいなものが入ってるだけだったんだ。でも返事しようにも名前がないし……」
私のシズちゃんにストーカーだって……?
「仕方ないから放っておいたら、今度は干しておいた下着が無くなって…風で飛ばされてる訳でもなくて…」
私でさえもシズちゃんの下着を手に入れてないのに…
「室内で干すようにしたら…今度はドアに白くてねばついた液体がかけられてるし…」
犯人は男ね……それにしても誰なのかしら…私のシズちゃんを怖がらせるなんて…
「そしたら…今度は…家の中が荒らされてて…金目のものは荒らされてないんだが、下着とか無くなってるし…」
許さない、絶対に許さない…私のシズちゃんをこんなに怖がらせて…手を出そうなんて…
「何でもっと早い段階で相談しなかったの?警察には連絡した?」
「だって、みんなに迷惑かけたくなくて…私みたいなのがストーカーされてるなんて、信じないだろうなって思って……」
優しすぎるんだよ、シズちゃん。喧嘩しなければそこら辺の女の子よりも可愛いからいつか悪い虫がつくんじゃないかと思ってたけど、まさかそこまで悪い虫がついているなんて。
把握できなかったのはシズちゃんが相談してくれなかったというのもあるけど、主な原因は私がシズちゃんの悩みや状況を把握してなかったから。
自分を責めても責めてもこの状況は打破できないから私は行動に移す。
「シズちゃん、怖かったでしょ?今日は一緒に泊まってあげようか?」
「…でも、迷惑じゃ…」
「迷惑なんかじゃない、むしろ相談してくれて嬉しいよ。シズちゃんが何に悩んでるのか知ることができたし。ね、いいでしょ?」
シズちゃんは私が守るんだから!

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