「いーざーやぁぁぁぁぁ!!」
「ちょっとシズちゃん、そんな挨拶ってなくない?」
静雄が怒声とともに投げた標識を避けつつ言う臨也を、静雄は一言で一蹴する。
「うるせぇぇぇぇぇ」
「あ、ねぇねぇ、俺、シズちゃんにあげようと思ってプリン持ってきたんだよね」
これならイケるはずとたかをくくる臨也の予想は外れ。
「そんなのいらねぇからとりあえず殺されろ」
「…いやだよ。死んじゃったらシズちゃんに会えなくなっちゃうじゃん」
「俺にとってはこの上ない幸せだぜ?いーざーやーくーん」
「あはは。それは残念だけど叶えてあげられない。にしても…」
「シズちゃんってばモッテモテだねぇ!妬けるなぁ。シズちゃんのことは俺だけが知ってれば十分なのに…!」
「何ほざいてやがる!モテてねぇし!意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇ!」
という静雄と臨也のバトルが繰り広げられる中。
「あーあー。静雄ってばこんだけみんなに囲まれててモテてないとか言っちゃってるよ」
『静雄は鈍いところがあるからな』
「静雄らしいっちゃらしいが」
「せっかく静雄さんと会えたのに臨也さんに邪魔されるなんてなぁ」
「ていうか臨也さんいつから見てたんだろ」
「…」
「やっぱりイザイザはシズちゃんのこと大好きだよねぇ」
「お、俺だって静雄さん好きっすよ!」
「ゆまっちったら張り合っちゃって。まあ私もシズちゃん大好きだけどねー」
「俺の方が兄貴のこと大好きですよ」
「あはは。弟くんまで」
などと言うやり取りがあったことを静雄は知らない。
「おーい、静雄ー!その辺でやめとかないと置いてくぞぉ!」
「…?トムさん!終わったんすか?あ、待ってください!」
あっさりと臨也とのバトルを切り上げ、静雄はトムの元へと小走りで向かい、振り返って。
「幽…!あとでな!あと、セルティはまた遊ぼうな!新羅も怪我したらよろしくな!門田たちもまたな!」
「あと…臨也は今度ぶっ殺すから首洗って待ってやがれ!」
「ちょっ…シズちゃんなんで俺だけ…!?ひどくない!?」
などと喚く臨也を無視して。
「静雄さん、今度会った時は覚えててくれるかな」
「どうでしょう…」
「覚えててくれるに決まってんだろ?帝人はともかく、俺や杏里を覚えてないわけねぇよ」
「正臣ひどいよ…!」
「静雄は田中さんの言うことはよく聞くな」
「まるで忠犬だねぇ」
『静雄は犬じゃないぞ』
「いや、たとえだよ。たとえ」
「静雄さんを手懐けるなんて強者っすね」
「従順なシズちゃんもいいかも」
「兄貴は田中さんのことは信頼してますから…臨也さんと違って」
ダメージを受ける臨也に追い討ちをかけるように幽は言い。
「幽くん…傷口を抉るのやめてくれないかなぁ」
「ああ、傷つきました?良かった。臨也さんには人の心がないから効かないんじゃないかと思って心配しましたよ」
「君ってホント、いい性格してるね」
「ありがとうございます」
「誉めてないんだけど」
静雄が去ったあとには、そうな風に語らう門田たちがいた。皆一様に静雄が好きなのだが、静雄の鈍さ故に届くことはないのかもしれない。

End

同じく、『あくまで』の由姫様に一万打企画で書いて頂いたものです!
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由姫様、ありがとうございます!
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