田中トムが仕事の電話で席をはずし、やることもなく手持ち無沙汰になって公園でタバコを吸っている静雄に、来良学園の制服を着た子達が話しかける。
「静雄さーん」
「「こ、こんにちは(ぺこり)」」
元気な少年と、控えめな少年と少女である。
「あ゛?…ああ。えーと…」
どっかであったんだが…と思案する静雄に、少年たちは。
「紀田っす!紀田正臣っす!静雄さーんそろそろ覚えてくださいよー!」
「りゅ、竜ヶ峰帝人です」
「園原杏里です」
「あーわりぃわりぃ。ちゃんと覚えるからよぉ。で、なんだ?俺になんか用か?」
「えっと…」
「よ、用っていうか…」
「静雄さんが見えたから思わず声かけちゃったんすよ」
しどろもどろな杏里と帝人とは逆に、正臣はあっけらかんと言い放つ。
「…?」
「静雄さんは俺のアイドルっすから!」
「…はぁ?何言って…」
正臣の言葉に眉を寄せ、言葉を発しようとする静雄を遮り、帝人と杏里が正臣に抗議をする。
「ちょっ…正臣…!何言ってんの!」
「そうです。静雄さんは私たちのアイドルでもあるんですから」
「あはは…ごっめーん」
「…」
来良学園の三人のやり取りに首を傾げている静雄の肩に、手がおかれる。
「よぉ、静雄」
「…門田」
「あ〜!シズちゃんだー!」
「静雄さんお久しぶりっす!」
「相変わらず賑やかだな、お前ら」
「まあな…ああそうだ。静雄、これやる」
「…?」
静雄はとりあえず差し出されたので条件反射でそれを受け取り。
「お前が好きっつってた白たいやきだ」
「…いいのか?」
貰ってもいいのだろうかと問いかける静雄に、門田はきっぱりと言う。
「ああ。貰っとけ」
「ちょっ…ドタチンずるいー!」
「門田さんさっき珍しく買ってると思ったら静雄さんにあげるためだったんすね〜」
「え…」
そうなのか?わざわざ?
「ドタチンってばシズちゃんを餌付けしようって魂胆ね!私だってシズちゃんにあげたいのにー」
「餌付けって、別に俺はそんなつもりじゃ」
門田の否定の言葉は遮られ。
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