俺、紀田正臣は先日晴れて平和島静雄さんとのスイーツな恋を成就させることに成功した!俺の猛烈ラブアピールでやっと静雄さんも落ちてくれて、これから俺と静雄さんのラブラブチュッチュなめくるめく世界に飛び立てると思って浮き足立ってたりとかして。
それなのに、それなのにだ。全く静雄さんと一緒にいられない。何故って、俺が高校生で静雄さんが大人だから。静雄さんは借金の取り立て屋ではあるけど、ちゃんと仕事をしてる。そりゃ静雄さんにだって静雄さんの生活ってのがあるから、俺だってわがままは言えないってのはわかってる。わかってるけどさ、それでも会いたいって思うのは俺がガキだからか?静雄さんは俺に会いたいって思ってくれたりとかしないのかな…あーなんか、落ち込んできた。そうだ、こういう時はナンパにいこう!って静雄さんに恋しちゃう前は思えたのに、今は静雄さんのことしか考えられない。それぐらい俺は静雄さんが好きで、でも静雄さんはきっとそんなに俺のことを想ってるわけじゃないんだろうな…だってあの人はなんだかんだ大人だから。年下の俺より全然余裕なんだ…顔だっていいし、言い寄る人間は今までだってたくさんいただろうし。
そんなことを考える俺のもとに、一本の電話が入る。…静雄さんからだ。
「もしもし…!」
「…なに慌ててんだ」
「静雄さんから電話くれるなんて珍しいから…お仕事終わったんすか?」
「ああ。…今から行っていいか?」
「え?」
「遅いから悪いかとは思ったんだが…」
「え、全然っす。むしろ来てください。お願いします!」
「くくっ…ああ、ちょっと待ってろ」
笑いながらそう言って静雄さんは電話をきり、数分してインターホンのなる音がして、玄関へと急いだ。
「よぉ。紀田」
「静雄さん、久しぶりっす」
「ああ」
サングラスをかけていない静雄さんの綺麗な顔がダイレクトに見えて、どきりとした。
「あ、どうぞ」
「お邪魔しまーす…」
中に入ってもらい、ベッドに座る静雄さんにどうぞ、と言いながらお茶を差し出し、隣に座る。
「サンキュ」
静雄さんはコップを受けとると、口をつける。
「…あの、今日はどうして」
「ん?別に…最近会えてなかったし」
「そ、ですか…」
一応気にはしてくれていたんだ。でも静雄さんの言い方ドライだし、静雄さんが会いたかったわけじゃないのか…
そう思うと思わず溜め息が出てしまって、しまったと思った時にはもう遅かった。
「…紀田ぁ?」
「な、なんでもないっす」
「紀田、言え」
まっすぐ静雄さんに見つめられて、俺は目を逸らすことが出来なくて。
「…静雄さん、は俺より年上で。いつも大人に囲まれてて。余裕…で。会いたいって言ったら、ガキだって笑われるかなとか、思ったりして」
「…」
「す、すいません…あの」
「ばーか」
「へ…」
「年なんて関係ねぇんだよ。お前が俺を好きで、俺がお前を好き。それが一番大事だろ。だいたいなぁ」
静雄さんは頭をかきながら、言う。
「俺だって会いたかったよ」
「静雄、さん」
「俺はあんま素直じゃねぇから余裕そうに見えたかもしんねぇけど!だから、キス…しやがれ」
「…」
照れながら言う静雄さんは可愛くて、確かに年齢なんて関係ないかもって思う。だって年上だけど静雄さんはこんなに可愛いし。そんな静雄さんに誘われるようにキスをした。
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