「かっ、可愛い…!!v」
産まれてから今まで野良として生きてきた俺、
今日、運命の出会いを果たしました!
「ふにゅ…。」
縄張りを見回りし寝床に戻ってみると、
サラサラで金色の毛並みを持った美しい猫が、俺のベッド(床に敷き詰めたボロ布)で寝ていた!
「可愛い可愛い可愛いっ!初めて見る顔だな〜何処から来たんだろ?」
すやすやと眠る金色の猫にそっと近付き、顔を覗き込む。
この辺り一帯全て俺の縄張りだ。
たとえ家猫だろうが、縄張り内に住む猫は全て知っている。
でもこんなに綺麗な猫は知らない。
という事は縄張りの外から?
でもこれだけ綺麗だったら、たとえ縄張りの外でも噂とか聞きそうだけどな?
「……んにゅ?」
あっ、起きた!
「……誰だ?」
「っ初めまして、俺ね、いざや!」
「?初めまして…。」
うわあ〜!鈴みたいに澄んだ声!
小首を傾げてる様子も可愛い!
「もしかして、此処の主か?」
「うっうん!君は?何で此処に?」
「…道に迷って…疲れて…悪い、勝手に入って…。」
しょぼんと頭を下げる金猫。
「ん〜、君って綺麗だから家猫でしょ?」
「きっ!?あっ、ああ…//」
照れてる…可愛い!
も〜俺の好みストライクだよ!
「家が何て所かわかる?」
「う〜、前の家ならわかるけど、今の家はよくわかんねぇ。」
「…ああ、引っ越してきたばかりなんだ、なら俺わかるよ!」
「!ほっほんとか!?」
ああ〜、ピコピコパタパタ動いてるおっきな耳と長い尻尾も可愛い!!v
「さっき散歩してる時に引っ越しの車見たんだ、きっと其処でしょ?連れてってあげるよ!」
「!あっありがと、いざや!」
「!?」
えっ?えっ!?
抱き付かれた?良い匂い!
抱き付かれた!凄くあったかい!
………………………
浮かれた状態から覚めたら、何時の間にか引っ越し作業中のおっきな家の前に居た。
「あっ、此処だ!」
おっ俺のばかああっ!
これじゃあもうお別れじゃん!
のんびり案内してもっと親しくなるつもりだったのに!
あわよくば、恋人にまで上り詰めようと…!
「しずお?」
「あっ、かすか〜!」
俺が嘆いている間に、金猫(しずおという名前みたい)は飼い主であろう1人の人間の元に駆けて行ってしまった。
飼い主に抱かれて幸せそうに笑うシズちゃん(しずおだから)。
家猫じゃ、もう、会えないかもだよね…。
声を掛ける気にもなれず、俺は自分の寝床に帰ろうとシズちゃん達に背を向けた。
「いざや!」
「!?」
愛しい声に呼ばれて振り返ると、シズちゃんが飼い主の腕の中から俺を見ていた。
「ありがと、いざや!また会おうな!」
…まだまだチャンスはあるみたいだ。
………………………
〜あとがき〜
動物化、大好きなんです!
でもあれ?
1話完結のつもりだったのに、続きが書けそうな終わり方…すみません(汗)