『side臨也A』

「本当に、嫌になるねぇ〜シズちゃんは。」
「そんなに嫌なら会わなければ良いでしょ。」

俺は目の前の盤から波江に視線を移すが、仕事熱心な彼女はこちらを見ず、淡々と仕事をこなしている。

「会いに行ってる訳じゃない、向こうが勝手に俺を見つけて襲ってくるのさ、どうやって俺を捜してるんだか。」

思わず舌打ちしてしまった。
常々思う。
俺は情報屋だ、しかも高校卒業から今までずっとそれだけで生きてきた。
危ない橋なんて幾らでも渡り、そして難なくこうして生きてるんだ。
つまりある程度は、危険感知とか気配を消すとかに優れてるはずなのに…。

「俺探知機でも持ってるのかな?」
「平和島静雄が折原臨也センサーを持ってるのかは知らないけど、私からしたら、貴方が静雄に会いに行ってる様に見えるわ。」
「…………は?」
「池袋に行く必要も無いのにわざわざ行ったり、貴方なら幾らでも遭遇しない様にできるはずなのにしなかったり。」
「……は…はは、あっはははは、波江は時々、面白い事言うね?」

そんな事は無い。
俺があの街に足繁く通うのは、あの街が面白いからだ。
ダラーズ、黄巾族、罪歌、ブルースクウェア…。
セルティと新羅、ドタチン達、サイモン…。
だがシズちゃんは違う。
昔から何1つ、俺の思い通りにならない。
シズちゃんだけは違う。
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