秘密の部屋 | ナノ

▼ 11(05)


「ドラコが、昨夜口を滑らせたの。"純血は大丈夫だ"って。彼、きっと秘密の部屋のことを知っていたわ」
「ほら!やっぱりあいつに違いないよ!」

ロンが言った。

「ラピス、他に何か聞き出せないかしら?」
「無理だと思うわ」

ラピスはきっぱり言った。
三人はそれに驚く。

「マルフォイはラピスに何でも話すと思うんだけど」
「貴女が頼めば何とかならないかしら?」

ハリーとハーマイオニーの言葉に、ロンがうんうん頷く。

「……私だからこそ、彼は話さないわ」

三人には、ラピスの言葉の意味が理解出来ずに首を傾げる。
ラピスはそれ以上、そのことについては口を閉ざしたままだった。

「他のスリザリン生には話してるかもしれないよね」
「そうね」
「クラッブとゴイルを脅して聞いてみるってのはどう?」

とロン。

「もしドラコが彼等に話していたとしても、恐らく彼等は覚えていないでしょうね」
「私もそう思う」

ラピスの言葉に、ハーマイオニーが苦笑いをして頷いた。

「じゃあ直接マルフォイに聞くしかないってことだ」
「スリザリン生しか無理じゃないか」

ハリーとロンが項垂れた。

「――だったら、スリザリン生になれば良いのよ」
「え?」

ラピスの言葉に、二人が顔を上げる。

「そっか、ポリジュース薬!」

ハーマイオニーがぽんっと手を叩いて、ラピスが頷いた。
家の書庫にある本で、読んだことがある。

「何?その、ポリジュース薬って?」

ハリーが聞き返す。

「先週スネイプが授業で言っていたでしょう?聞いてなかったの?」

ハーマイオニーが眉を吊り上げる。

「僕達がスネイプの話しを聞いていると思うかい?」

あれだけのグリフィンドール生に対する嫌味を言われれば、聞きたくもないだろう。

「自分以外の誰かに変身出来る薬よ」
「それでスリザリン生の誰かに変身して、マルフォイから色々と聞き出すのよ」
「そりゃすごい!」
「でも、少し危ない薬じゃない?」

ハリーが呟いた。

「もし、スリザリン生に変身したまま元に戻れなくなったら?」
「クラッブやゴイルのままなんてまっぴらごめんだ!」

ロンが絶望的に言った。

「暫くすると効き目は切れるのよ」

ハーマイオニーがもどかしそうに言う。
ハリーとロンは、スネイプ教授の話しを全くと言って良い程聞いていないらしい。

「【最も強力な薬】と言う本に書いてあるってスネイプが言ってたわ。でもそれ、禁書の棚にあるのよ」

禁書の棚の本を持ち出すには、教員のサインが必要だ。
しかし、サインを頼めば何か疑われるに違いない。

「大丈夫よ、家にあるものをルーシーに頼んで、送ってもらうから」
「君の家にあるの?!」

ラピスの言葉に顔を輝かす三人。

「ラピスのご両親は魔法薬の研究をしていらしたものね、ある筈だわ」
「ええ」

ラピスは微笑んだ。

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