「ドラコが、昨夜口を滑らせたの。"純血は大丈夫だ"って。彼、きっと秘密の部屋のことを知っていたわ」
「ほら!やっぱりあいつに違いないよ!」
ロンが言った。
「ラピス、他に何か聞き出せないかしら?」
「無理だと思うわ」
ラピスはきっぱり言った。
三人はそれに驚く。
「マルフォイはラピスに何でも話すと思うんだけど」
「貴女が頼めば何とかならないかしら?」
ハリーとハーマイオニーの言葉に、ロンがうんうん頷く。
「……私だからこそ、彼は話さないわ」
三人には、ラピスの言葉の意味が理解出来ずに首を傾げる。
ラピスはそれ以上、そのことについては口を閉ざしたままだった。
「他のスリザリン生には話してるかもしれないよね」
「そうね」
「クラッブとゴイルを脅して聞いてみるってのはどう?」
とロン。
「もしドラコが彼等に話していたとしても、恐らく彼等は覚えていないでしょうね」
「私もそう思う」
ラピスの言葉に、ハーマイオニーが苦笑いをして頷いた。
「じゃあ直接マルフォイに聞くしかないってことだ」
「スリザリン生しか無理じゃないか」
ハリーとロンが項垂れた。
「――だったら、スリザリン生になれば良いのよ」
「え?」
ラピスの言葉に、二人が顔を上げる。
「そっか、ポリジュース薬!」
ハーマイオニーがぽんっと手を叩いて、ラピスが頷いた。
家の書庫にある本で、読んだことがある。
「何?その、ポリジュース薬って?」
ハリーが聞き返す。
「先週スネイプが授業で言っていたでしょう?聞いてなかったの?」
ハーマイオニーが眉を吊り上げる。
「僕達がスネイプの話しを聞いていると思うかい?」
あれだけのグリフィンドール生に対する嫌味を言われれば、聞きたくもないだろう。
「自分以外の誰かに変身出来る薬よ」
「それでスリザリン生の誰かに変身して、マルフォイから色々と聞き出すのよ」
「そりゃすごい!」
「でも、少し危ない薬じゃない?」
ハリーが呟いた。
「もし、スリザリン生に変身したまま元に戻れなくなったら?」
「クラッブやゴイルのままなんてまっぴらごめんだ!」
ロンが絶望的に言った。
「暫くすると効き目は切れるのよ」
ハーマイオニーがもどかしそうに言う。
ハリーとロンは、スネイプ教授の話しを全くと言って良い程聞いていないらしい。
「【最も強力な薬】と言う本に書いてあるってスネイプが言ってたわ。でもそれ、禁書の棚にあるのよ」
禁書の棚の本を持ち出すには、教員のサインが必要だ。
しかし、サインを頼めば何か疑われるに違いない。
「大丈夫よ、家にあるものをルーシーに頼んで、送ってもらうから」
「君の家にあるの?!」
ラピスの言葉に顔を輝かす三人。
「ラピスのご両親は魔法薬の研究をしていらしたものね、ある筈だわ」
「ええ」
ラピスは微笑んだ。
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