◇2 (2/2)
* * *
……………、
「あの…、雛くん?」
さあ、寝るぞ!と寝室に来て俺の目に飛び込んできた光景。
「これは…いったい…」
何事ですか?目を見張りました。
先に、ベッドに入っていた雛くんはいつも通り。ちょっと大きめのベットに潜り込んでるのは通常ですね。はい、問題ありません。問題は、そのベットの中です。いや、上?
はい、ベットの上には、魚、魚、魚。。。
ここはなんですか?水族館ですか?
そして、真ん中にどどんと、存在感を思う存分に主張した、マグロの抱きまくら。
いや、、、確かに、雛くんは毎日抱いて寝てますよ。マグロの抱きまくら。
俺と雛くんの間に川の字で、マグロの抱きまくら。
なんで、真ん中がお前なのかと。。。
正直に言いましょう。本当に邪魔です!
添え物のはずなのに、俺がむしろ添え物?
雛くんにとって、俺の方が邪魔者とか思われていないよね?
そうだよね?
もしも邪魔だと思われていたら、本気で泣けますから!
それはいい。いや、良くはないけど、そんな事よりも今はベットの上をところ狭しと、ひしめく魚達が問題なのです。
俺の寝場所が、ないんですよ!どうしましょ?ね、雛くん?
と、少し黄昏れていたら、何を勘違いしたのか、
「こーくんもほしいの?おさかなさん…」
そう言って、雛くんはなぜかうるうるした瞳で俺を見た。え?
そして、キョロキョロと魚を見渡したかと思うと、
「こーくんに、これあげる」
と、一匹の魚のぬいぐるみを差し出してくれました。
いや、雛くん!それ要らないからね?俺、物欲しそうにしていた?違うからね!
しかも、それ、どうでもいいけどぶっさいくですね。。。なんで、それをチョイスしたのかな?
まさか、雛くん要らないから俺にくれたとかじゃないよね?
うん、そんな訳ないよ!雛くんに限ってそんなね。。。
頭の中で自問自答を繰り返し、なんとか結論付けた俺は、
「うん、雛くん。それはいいよ。」
いりません。ニッコリ笑ってお断りしてあげました。
あれ?なんか、残念そうだよ?おかしいな。。。
それはいい、この魚だよ。
「あのね、雛くん。この魚さ…」
邪魔だよ!なんて言えないけど、このままではちょっと困ると、せめていくつかだけにしてほしいとお願いしようと思ったのに、
「いっしょにねるの」
先に牽制されました。いや、雛くんにそんな気はないでしょうけどね。
そうですか、
魚と一緒に寝るんですか。。。これ全部と?マジで?
では、雛くんに質問です。
「俺、どこで寝ればいい?」
そう聞いてみたら、んー、と眉間にシワを寄せて雛くんが考え込み始めました。もう少し、はっきり言おうか?
「これじゃ、俺寝れないよ。」
さあどうする?雛くん?
雛くんの答えをじっと待っていたら、少し口を尖らせ不満そうにしています。あれ?
まさか、俺、魚以下じゃないよね?ちょっと、一抹の不安を覚えます。冷や汗が出てきたぞ。
お願いしますよ、雛くん。そんなことないって、即答が欲しかったです。
そんな俺の気持ちとはうらはらに、雛くんは魚と俺をを交互に見ている。
「むぅ、」
お願い!雛くん、そこ迷わないで!
そんな葛藤もありつつですけど、結果、雛くんは俺を選んでくれました。
そう、魚を少し片付けてくれたのです。
そう少しだけね。。。
当たり前のように、マグロはど真ん中を陣取ってますけどね。。。
なんか、悔しいです!
でも、一応は、俺を優先してくれたと思っておきましょう!
くそー!マグロめ!
次は、俺が勝ってやるんだからな!
と、何に対する宣戦布告か。
俺とマグロの不毛な戦いはこれからも続くのでした。。。まる
fin
魚<こーくん=マグロ(笑)