つれてってもらったばしょは、いっぱいのひとがいて…
おいしそうなできれいなちょこがいっぱいあって…
おもわず、きょろきょろとあちこちみちゃっていたの。あまりにもたくさんのちょこのやまに、どれをえらべばいいのかわからなくて、うんうんとまよってしまった…。
へにょりとしながら、こまってるぼくをみていたおにいさん。そんなぼくにおにいさんは、
「いくつ、チョコが必要なん?何人にあげるんかわかる?」
って、そうきいてきた。だからぼくは、ゆびをおりながら、
「こーくんと、なりと、はしばちゃんと、なっくんと…」
えっとえっと…と、いっしょうけんめいあけたいひとのなまえをつたえた。
「ふふ、10個やね。ひなくん予算…あっ、お金どのくらい持ってきたんかな?」
って。あ!おかね。にいちゃにもらったおかね!
「んとね、」
だいじにくびからさげてた、おさいふをだしておにいさんに、にいちゃからもらったおかねをみせてあげた。
そしたら、それをみたおにいさんは、すこしこまったようなかおをした…きがする。
あれ?だめだったのかな?ちょっぴりふあんになったぼくだけど、おにいさんが、すぐににっこりとわらって、
「じゃぁ…、これなんかどうやろ?」
にんきなんだよ。ってみせてくれたのはかわいいちいさなちょこれーと。おいしそう。
「あぃ!」
ぼくはうれしくなってへんじをしたら、
「ちょっと待っとって」
そういったかとおもったら、おにいさんはちょこをかごにいれて、そのままどこかへもっていっちゃった…。
さっきまで、おにいさんといっしょだったのが、またひとりになってしまって、きゅうにふあんになって。またきょろきょろしながらおにいさんがもどるのをいまかいまかとまっていた。
でも、おにいさんはすぐにおおきなふくろをもってかえってきて、
「はい、どうぞ」
ってぼくにわたしてくれた。それをぼくはかかえながら、あっ!おかね。まだ、おかねをわたしてないってきがついた。
ぼくはあわてておさいふからおかねをだして、
「ありがとうございました」
といって、おにいさんにわたしたら、おにいさんは、やっぱりにっこりと、
「どういたしまして」
っていってくれた。
それからおにいさんはでぐちまで、またてをつないでつれていってくれた。
「皆、喜んでくれるといいね。」
そういうと、ぼくのあたまをぽんぽんってやさしくなでてくれたの。ほんとうにやさしいやさしいおにいさん。ぼくのしってる、みんなみたいに、やさしくてあたたかいおにいさん。
「ほんとうに、ありがとうございました。」
ぼくは、もういちどおにいさんにありがとうのきもちをつたえたの。
「ばいばぁい」
てををふって、やさしいおにいさんとわかれてぼくは、おうちにもどったよ。そうして、きがついたの。
あのおにいさんのなまえ、きくのわすれちゃった…。
こんどまたあえるかな?
あいたいな。
* * *
ばれんたいん
あのひかったちょこを、まずこーくんにわたした。
「えっ!これ、どうしたの雛くん!えっ、マジ嬉しいんだけど!」
と、すっごくよろこんでくれて、なんか、もったいない!たべるのもったいない!
なんてずーっといっていた。
でもね。ちょこ…、おいしいんだよ。
せっかくかったの、ちゃんとたべてほしいな。おにいさんにえらんでもらったちょこなんだもん。
でも、よろこんでくれてほんとうによかった!
つぎに、なりにわたしにいったの。そしたら、
「雛は、ほんとに良くできた子ですね。もう、家に嫁に来なさい。」
って、なんだかよくわかんないことをいってた。
んー、でもよろこんでくれてるからいいよね。
んふふ。
つぎは、なっくん。
「おー、ありがとう!嬉しいよ!」
って、なっくんはおおきなてで、あたまをがしがしってなでてくれた。
ぼく、なっくんになでられるのだいすき!
はしばちゃんはね、
「もう、雛ちゃんいい子すぎだから!大好きだよー!」
ってぎゅうぎゅうってぼくをだきしめてくれるの。
ぼくもね、はしばちゃんがだぁいすきなんだよ!っていったよ。そしたら、はしばちゃんはまた、ぎゅうってだきしめてくれたの。
ほかにもね、とーやとか、くろちゃんとやーくん。ゆうにいちゃんや、あきにいちゃん。
もちろん、にいちゃにもあげたんだよ!
にいちゃはとおくとおくにいるから、こーくんにそうだんしたの。そしたら、こーくんがはこにいれておくってくれたんだよ。おてがみかくといいよっていわれたから、にいちゃに、おかねのおれいと、だいすきってかいたの。
なんにちかして、にいちゃから、
「雛、チョコありがとう!美味しかったぞ!」
ってでんわがあっておれいをいわれたの。にいちゃのこえがきけてうれしかったけど、にいちゃにあいたくなっちゃった…。
でもね。みんなみんな、よろこんでくれてよかった。
あのときのおにいさん。
ほんとうにありがとう。
こんどは、おにいさんにもちょこをあげたいな。
fin