※雛ちゃんの声は平仮名です。苦手な方は閲覧を控えて下さい。
「こーくん、あしたはぼくひとりでだいじょうぶ!」
「…えっ?」
「ぼく、ひとりでおるすばんするもん!」
って、こーくんにいってみたの。こーくん、すっごくびっくりしてる。なんでだろ?ぼく、できるよ。
「………なんで?」
おどろいたかおしたこーくんなんだけど、すぐにぼくにりゆうをきいたよ。うんと…、………どうしよう?なんていえばいいのかな?
んぅ…………。
「おるすばん、できるよ!」
もういっかい、いってみた。だって、なんていっていいか、わからなかったから。
…………だめ?
そんなきもちをこめて、じぃって、こーくんをみたんだ。
「///っ!」
そしたら、こーくんのおかお、まっかだね。どうしたのかな?おねつでも、でたのかな?
「ちゃ、ちゃんとお留守番できるの?」
って、そうきくから、
「できるよ!!」
よかった!わかってくれたんだ!と、おおきくうなづいた。
んふふ//やったぁ。ぼくね、ぼくね。しってるんだもん!
あさってはぁ、ばれんたいんっていうんだって。だいすきなひとにね、ちょこあげるひなんだよ。まいにち、てれびでいってるのみたよ。かわいくて、きれいで、おいしそうなちょこがいっぱいいっぱいうっているの。てれびのなかのみんな、いっぱいいっぱいちょこをたのしそうに、うれしそうにかってた。いいなー。ぼくも、あげたいなって、おもったんだよ。
だからね、ぼく、きめたの。だいすきなひと、みんなにぼくが、ひとりでないしょで、でぱーとってところにいって、かってくるよ。ぼく、できるよね?ひとりで、だいじょうぶだもん!
このあいだ、にいちゃにおかねもらったの。ぼくのすきなものを、かっていいよっていってくれた。だから、あしたはそのおかねでだいすきなみんなに、ちょこをかいにいくんだもん。
ぼく、ひとりでちょこかいにいけるもん!
これはね、こーくんにもみんなにもないしょなんだよ。
* * *
んと…。
はしばちゃんにもらった、ぼくのだいすきなおさかなさんのりゅっくとおさいふ。にいちゃにもらった、おかね、いれて。
よし、いくもん!
んふふ。どんなちょこをあげようかな?こーくんたち、よろこんでくれるかな?
ちょこやみんながよろこんでくれるかな?ってかんがえていたら、すぐにでぱーとについちゃった。
こーくんのおやすみに、いっしょにおかいものをする、ひとがいっばいのおみせ。
んぅ…ちょこはどこ?
ひとがいっぱい…
いつもいっしょのこーくんがいない…
ぼく、どこいけばいいかわかんないよ…
ぐす、ん
いつもぎゅうってぼくのてをにぎってくれる、あったかいてがない。しらないひとがいっぱいで、おっきなこえがうるさくて、ぼく、ふあんで、こわくて、なんだかぷるぷるふるえてきたよ…
こーくん。
こーくんが、いないよ…。
それまであった、わくわくして、たのしかったのが、いつのまにかなくなってふあんでいっぱいにかわってた。
「僕?どうしたん?」
うりゅん、て、なきそうになっていたら、いつのまにかめのまえに、やさしそうなおにいさんがいて、ぼくにゆっくりきれいなこえでそうきいてきた。
「……っ」
やさしそうなひと。だけど、ぼくのしらないひと。しらないひととしゃべっちゃだめ。ついてっちゃだめ。そういわれてた。どうしよう?って、あたまのなか、ぐるぐる。
「名前は?いえるん?」
なにもいえずいるぼく。それでもめのまえのひとは、にこってわらってくれながら、しゃべりつづけてくれた。しらないひと。だけど、こわいひとにはぜんぜんみえなくて、それより、なんだかみんなみたいにあんしんできるようなきがするから、
「…ひな」
そう、じぶんのなまえをおしえたら、
「ひなちゃんやな。いいなまえやん。一人でお使い?えらいな〜。そんなひなちゃんは、どこに行きたいんかな?」
ってきいてくれた。
そこであれ?っておもった。
なんか、くろちゃんややーくんとおんなじしゃべりかたなんだってこと。そうおもったら、またなんだかあんしんした。
「ちょこをね、かいたいの。…ありますか?」
って、ゆうきをだしていってみた。そしたらおにいさんは、またやさしくわらって、
「ふふ。ひなちゃんの、好きな人にあげるんかな?」
ってきかれ、ちょっとうれしくなって。
「そうなの!だいすきなひとたちにあげるの!」
っていった。おにいさんは、またわらってくれた。
「じゃあ、こっちやで。」
おにいさんは、たちあがり、くるりとむきをかえた。ぼくは、それにすぐにうごけなくて。そしたら、おにいさんはまたぼくのほうをむいて、そして、
「おいで」
って、てをさしだしてくれたから、ぼくはおもわずそのてをつかんだ。
こーくんのてでも、なりのてでも、にいちゃのてでも、しってるひとのどのてでもないしらないて。だけど、ほんわりあったかなあんしんするやさしいて、だったの。
そう。なんだか、しゃべりかたも、くうきも、くろちゃんみたいなひとで、はじめてなのに、あんしんするんだもん。