◇2


店員さんと雛ちゃんは、ニコニコ話ながらチョコを選びはじめ、そして数分後。雛ちゃんは大きな袋を小さな腕に大事に抱えて、嬉しそうにチョコブースから出てきた。

デパートの外まで店員さんに案内され、

「ありがとうございました!」

と、ぺこりとお辞儀をして、

「ばいばい」

と嬉しそうに手を振り帰っていった雛ちゃん。その小さな後ろ姿をニコニコしながら見送る店員さん。

それを微笑ましく見ていた俺だけどすぐに我にかえり慌てて店員さんの側に駆け寄って、

「ありがとうございます。お忙しいのにこんな事頼んじゃって、どうもすいません!」

雛ちゃんの小さくなる後ろ姿を見失わないよう目線で追いながらお礼を言った。

「いえいえ。とても可愛い子供さんですね。」

店員さんが雛ちゃんを褒めてくれた事を嬉しく思いながら、自然と頬が緩むのを感じていたけど、はっ!雛ちゃん!マズイ。思ったよりも随分と先まで歩いて行った雛ちゃんを慌てて追いかけた。

その後は、寄り道する事なく真っ直ぐ家まで帰ったのを見届けて、ようやくホッと息をついた。

うん。
羽柴 紅葉、ミッション完了〜ってね!

* * * *

後日。あの、大量のチョコ達は、ちゃあんとvalentineに洸ちゃんに成に那津をはじめ、これまで雛ちゃんに関わってきた皆に渡されたらしいよ〜。

もちろん、俺もちゃあんと貰ったからね。もう、一生の宝物にしたい位に嬉しかった!雛ちゃん。ありがとう〜。

ホワイトデーは、何をお返ししようかな。

あ!もちろん、今日あった事は洸ちゃんに報告する時は、何もなかったよ!雛ちゃん、すっごくお利口さんだったよって、ちょっぴり嘘ついちゃったけど、せっかくの雛ちゃんのサプライズだもん。内緒にしといて、びっくりさせてあげないとね〜。

俺は知ってしまったけど、やっぱり貰った時は嬉しかったし、温かい気持ちになったもん。

雛ちゃんて、ほんと人を幸せにする天才だね。いっつも、俺達が雛ちゃんをびっくりサプライズしてきたけど、今回は雛ちゃんの素敵な素敵なサプライズにはやられちゃったよ!

はい。
羽柴からの報告でした!

皆を代表して、ありがとう雛ちゃん。


fin



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