お腹の中の…つまり俺達の子供が双子だと解ってから更に大きくなっていく芽以ちゃんのお腹。
安定期に入ったとはいえ、その大きさは相当で。元々が小柄で華奢な芽以ちゃんだったから見ていて心配になるくらい本当に辛そうだ。
「芽以くん、そのお腹おっきいね…。大丈夫?」
日に日に大きくなるお腹と、動きがぎこちない芽以ちゃんを見ると、皆そう思ってしまうようで、芽以ちゃんがヨタヨタ歩いているとハラハラして、手を差し伸べたくなるようだ。
だが基本人に頼るのが嫌いな芽以ちゃんである。自分の出来る事は自分でする!とばかりになんでもかんでも自分でやろうとすしては、でも、お腹が大きすぎて中々思うように動けず…。そんな姿が危なっかしいと、会う人会う人に何とか言ってくれ!と詰め寄られる始末。
それとなく家では俺が、何かと芽以ちゃんを手伝いつつやんわり言ってはみるものの、実は芽以ちゃん。それがあんまり、おもしろくないみたいだった。
故に、
「廉くん、僕できるよ」
と唇を尖らせ膨れているのだ。
だから、
「心配なんだよ。芽以ちゃん、そんなお腹でちょこまか動きすぎ。俺や周りを頼れって!」
そう言い聞かせても、イマイチ納得はしていない様子で、その繰り返し。
それを上手くやるのが、
「芽以。おとなしく座ってろ」
やんわり、自分の隣に芽以ちゃんを置いて芽以ちゃんがやりたい事を先読みしつつ、さりげなくフォローする涼だ。あまりに自然すぎて感心する。
あからさまに、やるよなんて言わない。あくまで自然体。だからか芽以ちゃんも大人しくされるままだ。
涼…お前は何者なんだよ。相変わらずあいつには敵わないのが悔しい。
そんな風な芽以ちゃんの仕事風景だったがそれも今日まで。さすがに、7ヶ月に入るとお腹もパンパンだった。双子だからなのか、臨月みたいだとよく言われる。
もうこれ以上、仕事をするのは無理だろうと、芽以ちゃんの事務所や涼も交えて話し合い、もうここが限界だろうと芽以ちゃんの産休前のテレビ最後の仕事が今日、このスタジオだ。
俺も、こっそり影から見守っている。
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