◇7
「ねぇ…、芽以ちゃん。何がわかったの?何がもういいの?…答えろよ!芽以!!」

珍しく声をあらげて芽以の名を呼び廉慈は怒鳴った。あの、芽以にだ。廉慈の中で何かがキレたらしい。

「俺が困るって?今が大事?そりゃ、困るかもしれないよ。仕事だって大事だとは思う。だけど、そんな事より芽以の方が大事なんだよ。芽以以上に大事な物なんてある訳ないだろ!その芽以が俺の子供を妊娠してくれたんだよ。迷惑な訳ないだろう!!勝手に思い込んで自己完結なんかすんな!俺の愛情甘くみんなよ!」

一気に話す廉慈の言葉を聞いて、芽以の瞳からまた…涙が零れる。

「だ…って、だって廉くん、なんも言ってく…んなかったから、、、」

えぐえぐ、鳴咽を漏らしながら芽以が訴える。

「突然すぎて、頭の中がフリーズしたの!」

「誰の子…っ、て…、きい…たぁ…廉くんの子にぃき、まっ…てるの…にぃ。廉くんのば、かぁ!」

「テンパってたんだよ!信じられなかったんだ!」

「やっぱり!!っ、信じたく…なかったんだ!」

廉慈の言葉で絶望に目を見開き、また涙を流す芽以。そして、駄々っ子のように腕の中でまた暴れ出した。

「違う!?そうじゃなくて、逆!!嬉しすぎて、夢みたいで、いつも願ってた事だから。芽以ちゃんとの間に子供できたら…って。だから、確認したかったんだ。夢みたいで…今、俺がどれだけ幸せで舞い上がってるか知らないだろ!」

まぁ…突然すぎて、芽以ちゃんの事まで気にかけてあげられなくて不安な思いさせちゃったけど…。

小さく消えいるように、自分に対して反省するように紡がれる言葉。さっきまでの勢いも少し落ち着き、また芽以から芽以ちゃんに呼び名もいつの間にか戻っていた。そして芽以もそんな廉慈の告白に暴れるのを止めビックリしたように聞いていた。それを見て、もう逃げないと感じたのか芽以の身体をそっと離して目線を合わせた廉慈は、

「芽以ちゃんが好きです。愛してます。俺と結婚して下さい。」

ハッキリとした言葉で芽以の目を真剣に見ながらのプロポーズ。それを聞いた芽以の瞳から止まっていた涙がぶわっとまた溢れ…でも、それはきっと喜びの涙で、

「ぼ、僕でいいの?」

「芽以ちゃんがいいんです。」

「ぼく、迷惑ばっかかけて、何もできない…かもしれないよ?」

「芽以ちゃんは、俺の側に居てくれるだけでいい。笑顔で居てくれるだけで俺は幸せだから。」

「廉…っくん…」

「芽以ちゃん、返事は?まっ、子供が出来たのならもう絶対に芽以ちゃんを離すつもりないけどね。」

うっわ…ヘタレのくせに、すげぇ殺し文句。芽以は、キラキラした瞳で廉慈を見ちゃってるよ。

「僕も。僕も廉くんが大好き!僕を幸せにして下さい。」

そう言って、飛びつくように廉慈に抱きついた。

「芽以ちゃん…、元気な子を産んでね。そして、2人で、ううん。産まれてくる子供と3人で幸せになろうね。」

そう言って盛り上ってるこいつらは完全に2人の世界。このはた迷惑なバカップルは抱き合いながら、とうとう濃厚なキスをし始めた。

「んっ…ふ、ぁ…っ、」

漏れ聞こえる芽以の声が艶を含み始める。

おい…、バカップル。俺の存在完全に忘れてるだろう。ここは俺の家だからな!さっさと自分達の家に帰れ!


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