◇成の場合
ピンポーン
鳴り響くチャイム。しかし?シンと無反応。あれ?――留守?首を捻りながら試しにノブを回せば、簡単に開いたドア。
「無用心やな。」
呟きながら、
「な〜り〜〜」
叫んでみるが、ヤハリ無反応やった。おっかしいな〜?コンビニでも行っとるんかな?すると、
「とりく、あ、とりとーー!」
いきなりひーくんが待ちきれないとばかりに叫んだ。すると、それまで静かで人の気配がなかった室内からガタンと音がし、バタバタと誰かが近付く音がした。その誰かはマッハの速さでひーくんの前まで来ると、ガバッと勢いよくひーくんを抱きしめた。
「ん〜、雛の匂い…」
すんすんとひーくんの匂いを嗅ぐ変態…あ、や、成なんやけども、聴こえてきたその言葉に、さすがの僕も若干引くわ!よくよく聞けば、今仕事に追い込まれてカンヅメらしい。
ほー、なるほどな。そりゃ、お疲れ様や。とりあえず、
「トリック・オア・トリート(Trick or treatやで成!」
「とりとーー!」
本日お決まりのセリフに、
「ふーん…、このにゃんこ達はどんな悪戯をしてくれるんですか?ふふふ」
不適に怪しく笑う成。ぞくってしたわ!今!
「あかん!ここは危険や!ひーくん、撤収!撤収ー!」
追い込まれすぎて目が逝っちゃってる成は危険すぎる!狼ににゃんこ…あかんあかん!僕は慌ててひーくんを抱え脱兎のごとくその場を後にした。
「雛は置いてけーー!」
後ろからそんな声が聴こえた気がするが無視や!なんやねん。ホラーやな。あー、あっぶなー。
しばらく、ここには近付かんとこっと!
後は…あ!飼い主さんのとこやな。
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