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『成…知り合いって?』
知り合いの医者に見せると成は言うけど、果たしてこんな雛くんを受け入れてもらえるのか?どうしてもそこが心配で俺は成に尋ねていた。
『あぁ…大丈夫です。従兄弟ですから。話ももうつけてありますよ。だから、安心して下さい。』
さすが成だ。ちゃんと考えていてくれている事にホッと一安心。良かった。
* * * *
『成!』
着いたのはなんと大学病院だった。その入口に1人の男の人が立っていて俺達の姿を確認すると成の名を呼び近づいて来た。
『暁良さん!』
多分その人の名前なんだろう。暁良さんと名前を呼び成もその人に駆け寄って2人何か話をしている。それを俺は雛くんを抱き抱えながら見ていた。すると話がついたのか2人の視線が俺に向いていた。
『洸さん!』
俺は成に呼ばれ2人の元へ急いで近寄った。
『この人、俺の従兄弟の中邑 暁良(なかむら あきら)さん。暁良さん、彼が洸さんで腕の中にいるのが…』
『例の雛くんだろ?自己紹介は後後。とりあえず中入ろう!』
そう言われて、俺達は大学病院の中へ案内された。少し早足になりながら歩いていると奥まった場所にあった一つの部屋に辿り着いた。
『ここだよ!さ、入って。』
案内されて中に入るとそこには、もう一人すごく顔の整った男の人がいた。
『お、来たな!』
その人は、待ってたと言わんばかりで俺達を出迎えてくれた。
『あっ、こいつは柳瀬 雄哉(やなせ ゆうや)。俺の相棒だから大丈夫だよ。』
そう言って彼、柳瀬さんを紹介してくれてた。そして隅にあったベッドの横に立って、
『ここに雛くんを寝かせてくれる?』
と言われたので、俺は言われるままに雛くんをベッドに寝かそうとした。したんだけど…、
『…ゃぁ…っ』
雛くんが離してくれなかった。弱々しく俺の服を掴んで雛くんは俺から離れるのを嫌がり、
『雛、ほら離して…』
成が困ったように話しかけ俺から引き剥がそうとするんだけど、雛くんは更に嫌がって、なおも力を入れて離そうとはしなかった。
『しょうがねぇな…じゃ、そのままでいいからそこ座って。』
少し溜息をついた柳瀬さんが、そう言ってくれたので、
『あっ、はいっ』
俺は雛くんを抱いたままベッドに慌てて腰掛けた。すると、暁良さんが雛くんの腕をとり
『ちょっと我慢してよ〜』
少し、軽い口調で言うとささっと採血して、柳瀬さんも、雛くんの診察を始める。ものすごく手際がいい。
『熱…、たけえな…。』
『この熱をまず下げないといけないね。』
ときおり2人でいろいろ相談し合いながら、治療を続けている。それを俺は見ながら雛くん大丈夫かな…と腕の中の雛くんを見ると、雛くんは俺の胸な顔を埋めながらされるがまま。チラッと成を見たら、成も心配そうにこちらを見ていた。