◇3
『ふ…ゃ…ぁぁ…ぇツ、ぇグ…』
だんだんぐずりはじめる雛くん。
『よし、よし…』
背中をさすりあやしながら、考えろ!考えろ!落ち着いて考えなきゃ。雛くんにとって今どうしたら1番いいのかを。
* * * *
『あっ!もしもし、成?今、大丈夫?』
『洸さん?どうしたんです?』
考えた結果俺は、成に電話をした。俺だけじゃ限界があるから。すぐにいい考えなんて浮かばなくて。情けないけれど、成に助けをかりることにした。
『雛くんが!?』
『雛が?どうしたんです?』
『大変なんだ!!熱が高くて。…それに…』
俺は、パニックになりながらも成に手早く説明をした。
『わかりました。俺もすぐ行きます。熱はどれくらいあるんです?』
そう聞かれてハッとする。熱、測ってない。あ〜、俺のバカバカバカ!
『ごめん。まだ、測ってない…』
『そうですか。じゃ、俺が行くまで熱測っておいて下さい。すぐ行きますから。』
そう言って成は電話を切った。成はすごく冷静だった。俺はオロオロするばかりだったのに。落ち込むけど今は落ち込んでる場合じゃない。雛くんの為に俺が出来る事を今やらなきゃ。反省なんていつでもできるんだから。そうして、雛くんのわきに体温計を挟み熱を計った。
ピピピピ
『えぇぇーーー!?』
よ、40度超えてる!!あり得ない。俺は、あまりの熱の高さにさらにパニックになりそうだった。こんなに高かったなんて。
『え、えっと…、そうだ!冷やそう。冷やさないと…』
すっかり温くなってしまった冷えピタを新しい物に変えて、その間もぐずる腕の中の雛くんをあやしていた。そうこうしてると
ピンポーン
あ!成かな!?
ガチャッ
『洸さん大丈夫ですか!?雛は!』
『あっ!成。どうしよう、雛くんすごく辛そうなんだ。お、俺どうしたらいいか』
成が来てくれて緊張の糸も切れたのか弱音を吐き出している俺に、
『洸さん!?』
成が俺の頬を両手でパンッと挟んだ。
『しっかりして下さい!あんた雛の保護者でしょ!雛は洸さんを一生懸命頼ってるんですよ。それなのにあんたがそれでどうすんですか!』
そう言った成は腕の中の雛くんを見ていた。雛くんは小さな手でぎゅうっと俺の服を掴んでいた。ホントだ。今1番辛いのは雛くんなのに。雛くんは俺しか頼れなかったのに。雛くんごめんね。頼りない俺で。そして俺は雛くんの小さな手に自分の手を重ね握りしめた。頑張れ!頑張れ雛くん。
そんな俺達を見ていた成は不意に手を伸ばして雛くんの額に置いた。
『かなり高いですね…』
『うん…、40度超えてた。』
それを聞いて、成もびっくりしていた。
『40度!?とりあえず、医者。俺の知り合いに連絡したんで連れてきましょう!』
行きますよ!さすが成だ。慌てていてもしっかり次の行動に移していた。
『あっ…う、うん。』
でも大丈夫かな?チラッとそう思ったが成が雛くんに不利になるような事をする訳がない。こうして俺達は成の知り合いの病院に急いで向かった。