短編 | ナノ
◇3微エロ表現 [ 9/15 ]
「…ん…っ…こ、きっ、あっ…もっと…もっ…と、こぉ、きぃで、いっぱ…、に…して…」
 
浅ましく、貪るように。俺の中を光生でいっぱいにしたかった。俺は光生を必死に求めた。最初は、いつもと違う俺に戸惑っていた光生だったけど、それでも欲望は別。俺が光生を愛しているように、光生も俺を愛してくれていると自覚はある。だから光生も、必死に俺を求めてくれた。それが本当に嬉しい。


* * * *

はぁ…。ちょっと頑張りすぎたかな?鈍く痛む腰をさすりながら、俺はそっと眠る光生を起こさないようにベッドを抜け出し、まだ少し肌寒いベランダへ出た。ブルリと身体を震わせ、それでも外の空気を吸いたくて。情事後、ローブを羽織って、窓の外を眺めている俺。

チラリと部屋に視線をやれば、グッスリとまだ寝むっている愛しい人が見える。
 
俺はあとどれくらい、貴方を感じる事が出来るのかな?ふと、ズキリと胸が痛んだ。

病院で、余命を告げられたあの日。悲しみはあったけれど、不思議と死ぬ事への恐怖はなかった。

あぁ…。俺は死ぬんだ。そう思って、何故だかアッサリ受け入れる事ができた。ただ、未練はある。俺はまだやれる事がある。それをやり遂げてから。どうせ死ぬなら、俺という人間を遺したいと思う。
 
そして、大好きな人の側ではずっと笑っていたい。確かにそう思っていた。怖くなかった。なかったハズだった。

だけど。急に怖くなった。死ぬ事じゃない。光生…貴方の側にいると、死ぬ事への恐怖より貴方を残して行く事。貴方の側に居られなくなる事。

そして、そんな俺の事を、貴方はいつか忘れてしまうんじゃないか。そんな恐怖が生まれてきてしまった。

貴方が大好きだから。愛してるよ、光生。貴方の重荷にはなりたくはない。俺の事を忘れて幸せになって欲しいと思う気持ちと、俺を忘れないでと願う想い。相反する気持ちが渦巻いて、どうしようもなく苦しくなるんだ。

そうして悩んで、苦しんで、出した答えが俺が生きた証を遺す事。

そして、愛する貴方には、俺の幸せだった全てを刻みつけたい。エゴかもしれないけど、少しでも俺の存在を光生の中から色褪せないようにしたいと思う気持ちは、いけないことなんだろうか?


 
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