@

今日は、雛くんの中学の入学式です。本当は、保護者として絶対に自分が出る!!と、アメリカ在住の松山さんがかなり気合い入っていたんだけど…。どうしても外せない仕事が入り、俺に”行ってくれ”と、落ち込んだ声でお願いされたのです。ま、お願いされなくても雛くんの晴れ舞台!行く気は満々だったから、好都合だけどね!

俺と雛くんは6年前に出会い、一度離ればなれになり、再び再会してもう一度一緒に生活する事になった。猫ミミ尻尾の可愛い子猫も、成長して少し大きくなったんですが…………。

「雛くーん!?準備は出来てるの?」

俺もバタバタしていて、準備は雛くんに任せていたんだけど返事がない。まさか!慌てて、雛くんのいるハズのリビングを覗けば、そこにはソファーに丸まりスヤスヤ眠る雛くんの気持ち良さげな姿が。

はぁ…。やっぱり。がっつり二度寝に入っちゃってます。よく寝るのは変わらないんだなぁ。と可愛い寝顔に思わず笑みが零れたけど、ハッと我にかえる。小さい頃ならそのままゆっくり寝かせておいてあげるんだけど、今はダメだ。入学式だよ!晴れ舞台だよ!

「雛くん、雛くん!起きて!」

と、揺さぶり起こす。

「…ぅ…ン」

「雛くん、眠いのはわかるけど入学式だよ。早く準備しなきゃ!」

もう一度、耳元で声をかけてみる。すると可愛い猫耳がピッて震え、雛くんの長い睫毛が揺れてゆっくり瞳が開いていく。潤んだ瞳が俺をボーっと見つめてきた。自然下からのアングルだから上目遣いだ。

可愛い…可愛いけど、

「//ほら、時間ないから!早く、起きて。支度できてるの?!」

そう言って無理矢理身体を起こさせる。

「うぇ…、ねみぃ…」

「ほら、耳!!出てるから!隠して!学校ではちゃんと気をつけてね!!」

良く眠る雛くんだから、心配だ!とブツブツ小言を言いながら、自分も支度に戻ろうとした。そんな俺に後ろから一言…

「こーくん、こじゅうとみてー」

なっ!?どこで覚えた。そんな台詞!バッと振り向けば、ノロノロと支度を始めてる雛くん。そんな雛くんを思わずガン見した。そう、…なんだろう。6年前の可愛い無垢で素直だった子猫は、アメリカの自由な空気に毒されたのか、はたまた、松山くんの影響なのか、少し…少しだけ小生意気になっていました…。

はぁ…もう一度ため息をついて、

「雛くん…、準備できたらこっちも手伝ってね…。」

そう声をかけたら、

「ふぇーい」

と、なんともオッサンくさい良い返事が返ってきましたよ…。可愛いんだけどな、それでも。だけどなんだろ?仕種や言動がガサツな感じがするんだよ。



[ prev / next ]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -