◇18
『あなたを失う事が何より辛いって解りましたから。誰に恨まれても、あなたが許してくれるなら、俺はあなたを愛し続けます。』
そう例えそれが護であっても、もう遠慮はしない。何があったって奪い返してみせる。
『護がいたってもう関係ない。もう一度あなたが振り向いてくれるまで…』
俺は頑張りますから!そう続けようとした言葉は、
『マモくんとは、別れたよ』
軽く伝えられた言葉に一瞬理解が出来なかった。
はい?ごめんなさい。今なんて言いました?俺の願望が幻聴として聞こえたんだろうか?軽く混乱した俺に構う事なく彼は続ける。
『マモくんとは別れた』
サラッと、いっそ清々しい感じに。
『………』
なんて言ったらいいのか、言葉がすぐには出てこない。
『なんか、違うんだよ。どうしてもさ、ナナと比べちゃってさ。こんなのマモくんにも悪いし』
だから別れたんだ、と。ずいぶん前なんだけど…。最後は小さく呟くように。そんな、とんでもない事実を淡々と話す彼に、俺は脱力した。疲れた。もう一度倒れてしまおうか?なんて現実逃避。そうだ、夕姫はこういう奴だったと今更ながらに気付いてしまった。
『じゃあ…。俺、今まで何やって…』
なんか、俺が今まで迷いに迷って悩みに悩んだ事が馬鹿らしい事に思えてしまう。そんな俺のやるせない気持ちに気付いたのか、
『だ、だって!俺から別れようって、マモくんと付き合うからって言っちゃったから、俺からはもうナナには何も言えなかったんだよ!』
叫ぶように顔を真っ赤にした夕姫は、それにナナはずっと俺を避けるしさ…と、小さな声でちょっと拗ねたように呟いた。
これは、期待してもいいのだろうか?