◇17

次に目覚めたら、そこは白い壁だった。そして、傍らには夕姫が眠っていて、そこでここが病院である事がわかる。
 
あぁ…。俺、倒れたんでしたっけ。夕姫、ずっとついててくれたのかな?そう思うと愛しさが募って。眠る彼のふわふわとした髪を優しく撫でた。
 
しばらく優しく撫でていると、夕姫の身体がピクッと動いて、ゆっくりと彼は顔をあげた。
 
そして俺の顔を見て、ハッとしたように目を見開いたかと思うと、くしゃっと顔を歪ませ今にも泣きそうになる。その顔を見て、ああ心配させてしまったのだ。申し訳ない。そう思った。
 
『過労だって…!無理しすぎなんだよ』
 
そう言って怒る夕姫の顔は。ああ…泣きそうじゃなくて、すでに泣いてしまっていた。涙で濡れたまま、
 
『いきなり倒れるんだもん…俺…ビックリして…ヒ…ヒック…』
 
『すいません…』
 
あぁ、もう悲しませたくなんかなかったのに。悲しませないって誓ったばかりだったのに。
 
『俺、ナナが死んじゃうかと思った…』

なおも言い募る彼の言葉に、
 
『…それは大袈裟でしょ…』

流石に、その一言には突っ込まずにいられなかったけど、

『それくらいビックリした!?』

そう泣きながら言われてしまえば、
 
『ごめんなさい…』

素直に謝るしかなくて。しばらく、夕姫のお説教が続き、俺は甘んじてそれを受け入れた。
 
だって俺にはそんな事より夕姫がこんなに心配してくれる事が嬉しくてたまらなくて。幸せを噛み締めながらニコニコしながら聞いていた。それが夕姫には気に障ったのか、俺に怪訝そうな顔をして
 
『何、にやけてるんだよ!?』
 
唇を尖らせてプリプリと怒っている。可愛い。こんな夕姫がまた見られるなんて、
 
『嬉しいんです。またあなたとこうやって向きあえるのが…。』
 
ずっとずっと…貴方を忘れようって思っていた。無理して、必要以上に頑張ったんです。
 
でも、もう諦めなくていいんですよね…?この幸せはずっと続くんですよね?
 
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