◇7
夕姫との待ち合わせ。2人でよく来た公園に。人気がなくて、結構穴場だよね。なんてあなたが言って笑っていたのを思い出した。
夕姫と、こういった静かな所で、ゆったりとした時間を過ごすの好きだった。そこに言葉がなくても決して苦痛な時間ではなく穏やかに過ぎて言って。夕姫と過ごした時間はとても大切な時間で、俺にとってかけがえのない宝物だった。
夕姫と別れて、その大切な時間が失われて。いや、自分自身で失くしてるようなものなんだけど。そんな事をつらつらと考えてる内にいつの間にかポツポツと雨が降ってきた。
『雨…』
まるで俺の心の中を映し出しているよう
だな。
あの日、
彼に別れを告げられたあの日から、俺の心には静かに雨が降り続いている。俺の心の中で降り続く雨は、忘れられない彼への行き場のない想いへの痛みと、この痛みを気付いて欲しいと、必死に叫ぶ心。
そして…
せつないまでに彼を想って泣き続け流れる俺の涙
強がりでごまかした別れだったけど、本当は別れたくなんてなかった。護にも…。いや、他の誰にだって夕姫を渡したくなんかなかった。
泣いて、縋って。夕姫に自分の気持ちをもっと素直に言えていればもしかしたらこの別れはなかったかもしれない。今も、彼が俺の隣で幸せそうに笑っていたかもしれないのに、と。そんな事を考え続けた1年間だった。