◇4

なんで、忘れてしまったんだろう。あの時と同じだったのに。ずっと我慢してたんだろうに。

寂しがりやな貴方の我慢の限界。それに気付けずに冷たい態度を取ってしまった自分。後悔なんていくらでもした。どれだけ後悔したってし足りない。

『ペアリングをあげた時の夕姫…可愛いかったなぁ…』
 
思い出の詰まったペアリング。これだけはどうしても捨てられずにいた。

でも

もうホントに終わらせないと。
 
こだわってるのは俺一人だけ。
 
彼はもうペアリングの事なんてこだわってないだろうと思う。もう身につけてはくれてない。だって彼の隣にはもう俺じゃない人間が居るのだから。
 
何度も捨てようとした。その度に、躊躇して捨てられなかった。俺にとっては大事な思い出の品。捨てたくない。捨てられない。

だけど、いつまでもコレを持っていても前に進む事ができないんだ。

捨てられないなら…
じゃあ、いっそ隠してしまおうか。
もうこれに縋ってちゃダメだから。
 
だけど、俺は忘れない。君と過ごしたあの幸せな日々を。忘れようとしても忘れられないなら無理に忘れなければいい。
 
物や形じゃないんだ。リングはどこか…
そう、森の奥にでも隠そう。何かの歌にあった。そして君との思い出全部心の奥底にしまって鍵をかけてしまおう。それで、俺の気持ち全部終わりにしよう。

そう、俺は決意した。

最後に…

でも、彼に会いたいな。会って謝りたい。そして、許されるならばまた前のような無邪気な気持ちで。恋人でなくていい。仲間としてずっと付き合っていきたいと、
 
そう伝えたい。


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