◇2

『やばいな。俺もう限界かも…』
 
夕姫と別れてから、俺は彼と接するのが怖くて、weaZerとしての仕事より、ピンでの仕事をドンドン引き受けていた。
 
でも、当然ながらそんな事をしても、weaZer自体の仕事はなくならない訳だから、ただ仕事が増えるだけで、ドンドン自分が追い詰められていく。
 
身体が悲鳴をあげる。それでも、俺は自分を追い詰めるしかない。
 
一人の時、どうしても考えてしまうから。感じてしまう。そこにはないハズの彼の存在を。
 
会わないようにしたのに
 
【だからピンの仕事を入れる】
 
忘れようとしたのに
 
【一人になると思い出すんだ】
 
君の香りを感じて、未だに凍りついてしまう俺がここに居る。まるで、取り残されてしまったように。
 
『はぁぁぁ…』

何度ため息をついたって、何も変わりはしないのだ。過ぎた時間はもう戻らないんだから。自分が壊してしまった時間はすでにイヤという程解ってる。

解ってるんだ…

だけど俺はそれから逃げているだけなんだよ。



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