◇1
夕姫と別れて1年が過ぎた。正直、俺はまだ立ち直れていない。
別れてもweaZerとしての関係は続いて、彼は今も俺の側にいてくれる。ただ、そこに居るのは、weaZerの仲間としてだけの彼だけれど。
恋人だった彼はもう居ない。
もう、俺の事を可愛い舌ったらずな声で
『ナナ』
と呼んでくれていた彼はいないんだ。可愛く甘えてきてくれた彼はもう…
いや…
彼は、変わっていないのかもしれない。昔と変わらず俺と接しているんだろう。でも、俺がダメなんだ。前みたいに彼の隣に居ることが出来ないで居る。どうしても、恋人だった楽しい時を思い出してしまって、そして胸が苦しくなる。
だって、彼はもう俺のものじゃないんだから。
昔みたいに彼の側に居たい。だけど辛くなるから居られない。忘れたいのに忘れられなくて、ふとした時に、どうしても思い出してしまうんだ。
だけど、一人の仕事の時だけ忘れる事ができた。だから、一人の仕事を自ら選んで、休みもほとんど取らず自分の身体の限界まで、酷使した。
それももう限界なのかもしれないけど。すでに肉体的にも精神的にも悲鳴を上げはじめていたことを、俺は必死に考えないようにしていた。