優しく問いただす声は、俺を安心させて真実を聞き出す為。しゅうは全て知っていたんだ。なのに、それも分からずに表面上のしゅうの優しさに油断した馬鹿な俺。しゅうは俺を油断させ巧みに追い詰め逃げられなくして、マモくんの優しさに逃げた俺の行動の全てを知っている上でその現実を突き付ける。
　
一度嘘をついてしまった俺はすでに逃げられなくなってしまった。
　
違うって言いたい。でも言えない。言わせてもらえない。俺の想いは、しゅうにはもう届く事はない。

信じてはもらえないのは悲しい。だけど、全て自分がやってしまった事だから自分でケジメをつけなくてはならない。分かってはいても、心がそれに追いつかない。
　
嫌だって。分かって欲しくて、まだ往生際の悪い俺は卑怯にも泣いて縋ってしまう。まだ、しゅうは許してくれるんじゃないかと淡い愚かな期待をして。

しかし、言葉は優しいけどもう俺を受け入れるつもりのないしゅうの心を変える事は当然できるハズがなかった。

距離を置く？いつまで？しゅうから言われた言葉。俺に選択肢なんてないけれど、離れたくはないと心が悲鳴をあげる。
　
何故、しゅうからあの日逃げたのか。マモくんに縋ったのか。嘘をついてしまったのか。
全ては後悔してももう遅過ぎる自分がおこした行動。

過ぎた時間はもう戻せない。
　
俺にはもう、しゅうの言う通りにして待つ事しかできないんだ。
　
そうして、しゅうと俺との関係はいまだ元には戻れずにいた。

弱い俺はやっぱり最低な人間だ。人間は弱いね。近くに優しさがあるとその優しさに甘えてしまうんだ。
　
しゅうはこうなる事が解っていたのかな？それとも、まだ俺を試している？

これは、しゅうが望んだ結果なんだろうか？