「「あ」」
「和山先輩さぼり?」
「うん。古文は眠い…」
「ははっ、先輩苦手そーだもん!わかる!」
「そっちは…」
「俺?いやー……数学って呪文ですね!」
「――馬鹿がさらに馬鹿になる」
「さらっと!言って!しまった!!」
「大丈夫、馬鹿な子ほどかわいい」
「いや、もう前半の言葉で全部あれだから」
「ゆ……萩は、順位下から数えた方が早いのか」
「自慢じゃないけどね」
「うん」
「……こういうとき、政哉のツッコミ欲しくなるな」
「教えようか?」
「え、まじで」
「それなりにできるし」
「すげー。和山先輩すげー!数学できる人ってすげー」
「できるってか、普通……」
「普通以下の俺にどうしろと」
「努力」
「痛恨の言葉」
「馬鹿な子ほどかわいい」
「二度目の台詞は精神的に来る。痛み的な意味で」
「褒め言葉……」
「まあ和山先輩って裏表ないから直訳だと思うけど、それ、俺じゃなかったら嫌味だと思っちゃうなー」
「……別に、分かってくれる奴だけでいい」
「そう?ま、感じ方は個々で違うし、いっか」
「萩は、馬鹿で可愛い」
「それは直訳しても馬鹿だと言ってるからな!」
「そうか?」
「先輩ってマジ相変わらず…図体でかい子どもみたいだ」
「萩も相変わらず能天気。でも、すこし、成長したな」
「そりゃあね」
「(那都って呼べば、いいのに)」
「先輩?」
「やっぱり、馬鹿だなぁ」



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