「はよー。……政哉、顔色悪いぞ」
「なあ、悠一」
「なんだよ」
「お前尻の穴にブツぶっ込まれたことあるか」

「……朝からヘヴィー過ぎるだろ」

 昨日、深夜までえろいことの自主勉強をしたおれは、後悔していた。
 知らずに先輩にガッ! と、勢いのままヤられた方がよかったかもしれない。
 いや馬鹿か! 無理矢理されたらあの行為は、いくら先輩でも大嫌いになるだろオイ……。

 朝から剛速球な質問を悠一にしたおれは、とりあえず落ち着け。と、宥められていた。
 排泄物が出る場所に、そんなおまえ、先輩のホニャララを入れるとか罰ゲームじゃないのか!?
 でかいもん先輩の! おれよりでかいの羨ましいの!!

「落ち着け」
「いで」
「政哉がまだ清い体だったのは先輩の忍耐じゃなくて、おまえの無知さか」
「ホモ高校で掘られない様にな。って、皆言ってたからおれも言ってたけど、実際どこを掘るのかまでは知らなかった」

 真顔で返せば悠一はかわいそうなものを見る目でおれを見つめていた。
 だって、日常生活でそういうものを知る必要はないじゃないか。
 おれは元々ノーマルで、女の子が今でも好きで、先輩とそういう関係にならなかったら、女の子と付き合いたいって思っているんだし。
 男同士の恋愛はおれには不要な知恵だったんだ。

 先輩だから、志岐先輩じゃなかったら、誰が悩むか。
 知識を身につけた段階で、こんなのできるか! って、思ったけど。
 でも、先輩はこれを知ってるんだろ?
 たぶん、おれとそういうのをしたいんだろ?
 わからないけど、そうしたら、先輩だって気持ちいいんだろ?

「なんでおれ、男を好きになったんだよー」
「志岐先輩がかっこいいからじゃね?」
「そうだよちくしょ−」

 あの人がかっこよくて、そういう感情をおれに向けないから。
 だから。
 おれからしたいって、思っちゃうんじゃないか。

「おれもうBL馬鹿にできねえ。受けすげぇぜ、マジすげぇよ」
「政哉、おまえ本当先輩と付き合って変な扉開きっぱなしな」
「うっせぇなー。ああもういやだーこわいー痔になったらどうしよう……」

 怖いなぁ。痛いんだろうなぁ。尻の穴って変態かよ。
 かといって舐めるの? おれが? 先輩のを? んなテクねぇよ。
 うんうん唸っていると「まあ頑張れ」なんて、呑気な悠一の声が聞こえた。




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