真白になる。目の前が。 「もう……いや、だ」 下半身の感覚が、ない。腹の上には吐き出したばかりの精液と、乾燥したものが溶け合っている。 触られて、舐められて、弄られて。 これでもかというぐらい、快楽を味わった。思考は歪むし、変な声は出るし。先輩はえろいし。最悪だ。 それでも、先輩はにやにやしたままで、笑っているだけだった。 おれは、先輩に何もしてない。 先輩は、おれに何も求めなかった。 只管に、与えるだけだった。 「ゆっくりねっちり教えてやるから、まあ、覚悟しとけ」 「……」 そう言いながら、便所に向かう先輩が見えた。 ……ものすっごく今更だけど、これっておれだけ気持ちよくて、先輩はどうやって気持ちよくなるんだ? おれも……先輩の触った方がいいのか? つーか、男同士のえっちぃ事ってどうするんだろうか。 こういう相談を人にするのは、流石におれのスキルじゃ無理だ。 幼馴染の裕人でも、むしろ裕人だからこそ無理だ。 何より、そういう知識を相談相手が知らなかったらお互いに気まずい雰囲気になるだけだし。 だから、こういう場合頼るのはパソコンだろう。 変な出会い系にぶつかったら面倒だとは思ったけど、これが一番手っ取り早い方法だ。 えーこちゃんならもしかして……いや、確実に知ってると思うけど、あの子にそんな事を聞くのは怖くて無理。 ただでさええーこちゃんの妄想でおれは穢されてるんで、本当そこは勘弁していただきたい。 (――先輩は、知ってる感じだったよな) なんつーか、おれも男だし、先輩が一人で便所に向かって行くのを見るのは居心地が悪い。 あの人は肝心な所で変に優しい。 そこが不良っぽくなくて、好……って、どんな乙女だおれ。 一番いいのは、先輩がおれにして欲しいこと言ってくれることだ。 そりゃ、最初は恥ずかしいからいわれて困ることもあるかもしれないけど、おれも、好きな人には色々頑張ってしたいって思う。 マウスをクリックし、画面にあるカーソルを操作する。 筋肉質の男や、線の細そうな可愛い系の男が画面で踊る。一瞬吐き気がしたけど、乗り越えなければならないものがあるわけで。 「――……」 知った事実に眩暈を起こすのはその数分後だった。 |