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一度終わったと思ったらそうではなかった時の脱力感は決していいものではない、はっきり言ってきつい。

それこそ誰かが言っていた"帰るまでが任務"というのを思いだしその通りだ、と一人誰にも気づかれないよう小さくため息をつく。
無事ヴァジュラを倒し安堵していた自分が確実に悪い。
任務が延長しただけだ、と自分に言い聞かせる。
それだけのことだと言うのにへばっている自分の情けなさにムカつく。

周りを警戒しながらも消えない苛立ちに舌打ちを打つと後ろを歩いているコウタが話しかけてきた。

「トウ、舌打ち打つなよー。慣れたといえ怖いから」
「うぜえ」
「ん〜何々?トウってば何か機嫌悪いの?」
「うるせえ」

コウタは最近前よりも増して俺の心を読むのが上手くなってきている気がした。
俺からしたら何故そんなにも他人の心が読めるのかは謎で思っていたことをまんまと当てられると顔は平然としていても内心驚いていることが多い。

長々と続くコウタの質問に適当に返事をしていると前を歩いていたソーマが急に立ち止まり俺も足を止める。

どうしたのかと聞く前に見てすぐに分かった。
こちらに向かって歩いて来ている人物が二人いる。
しかも一般人ではない。
遠目ではあるが手に持っているのは確実に神機だ。

「……どういうことだ」

ソーマは独り言のように呟いた後、その二人と合流しようと俺たちは再び足を動かす。

基本的に二つ、それ以上のチームが現場にいることはなあり得ない。
もしそれがあったとしてもそれは大規模な作戦になるし前もってそれは知らされる。
今回は当然もう一つのチームがいることなんて知らされてはいないし通信機の調子が悪い訳でもないので聞き漏らしているということは無い筈だ。
俺とコウタにとっては大きい作戦でもこれは大規模な作戦では無い。

「お前ら…」

いたのはリンドウとアリサだった。
まだ二人は索敵中らしく俺たちみたいにアラガミの確認という訳でもないらしい。

「どうして同一区画に二つのチームが……どうゆうこと?」

少しの間沈黙が走った後リンドウが口を開く。

「…考えるのは仕事が終わった後だ。俺とアリサは中を確認、お前らは外を警戒 わかったな」

俺たちが全員承諾したのを確認するとリンドウは頷くとアリサを引き連れ建物の中へと入って行った。

建物を入り口を守るよう囲み警戒体制になる。
会話は何もなく気味の悪いくらい静けさにジワジワと緊張感が襲う。

「グアアアア!!」

アラガミだ、近い…いや、建物の中だ。
思わず振り返りサクヤに聞く。

「応援に行かなくていいのかよ?」
「…いいわ、私たちはここを警戒。それがリーダーの指示よ」
「……そーですか」

特に反論する言葉も思い付かなかったため俺はアラガミの警戒を再開をする、が

ただ、まあ、もしも俺だったら応援に向かわせるだろうとかそんな新人の俺には不相応のことを思っていた。
あのアラガミの声は決して小型や中型のものではない。

あれは恐らく…ヴァジュラだ。





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