up to you | ナノ

 3


ヴァジュラの前足を横に切り裂くとその前足はあっけなく結合崩壊を起こした。
ヤツは横に倒れこんだがそれがただのダウンだということは分かっていたので神機を捕食形態に変えヴァジュラに突き刺しす。
湧き上がってくるこの力の感触は結構慣れてきたもので当初より冷静にいられる。

「もう少しね」

サクヤが俺に回復弾を撃ち込んで言った。
俺と同じく神機解放をしたソーマが立ち上がろうとするヴァジュラにそれは許さないとでも言うように結合崩壊をおこし赤い肉が見えている前足に神機を振り下す。
ヴァジュラは大きく鳴き声を上げ怒り狂ったように次々と攻撃をしかけてくる。
先ほどよりも動きはすばしっこくなっており攻撃にの一つ一つも威力が上がっている。
だがソーマが注意を引いてくれているおかげで余り苦戦はしていなかった。
銃形態に神機を変え弾のある限り撃ち込んだ後、即座に神機を変形させソーマの援護に向かう。
ソーマがジャンプしヴァジュラの頭に深々と神機の刃を振り下ろす。
コウタとサクヤの弾が次々と俺の横を通り過ぎり目の前の敵へ向かって行く。

ヴァジュラと俺の目が合った。
そのギョロリとした目には自分の姿が映り俺はその瞳に反射的に神機を突き刺した。
返り血がかかったがそんなことどうでもよく更に神機の刃を奥へと進ませる。
これ以上は無理かと反撃をしかれる前に神機を引き抜こうとするとヴァジュラの動きがまるでスイッチが切れたかのように動きが止まった。
そしてゆっくりと重い音をたてて倒れ俺は神機を引き抜くくと潰れていない方の目を見るともう生気は灯っていなかった。
俺は息を吐きだし返り血のついたままの手で前髪をかきあげた。


討伐は完了した。



「お荷物にはならなかったみたいだな」

そう言ったソーマの表情はまだまだ余裕そうでさすがであると思うと同時に少しムカついた。

「ちょっとー!止めはトウかよ、悔しい!」

どこか疲れを帯びさせた顔に笑みを浮かべさせながらコウタが言った。

「でもコウタもよくがんばっていたと思うわ」

サクヤもソーマ程ではないがそれほど疲れたような顔はしていなく経験と実力の差を実感させられる。

ようやくここまで来たがまだまだであると微妙な気持ちになりながら相変わらず曇っている空を見上げているとドシン!と思い足音が地面に響いた。
釣られたのか同じように俺と空を見上げてたソーマにパッと顔を向ける。
ソーマは眉間に皺を寄せ空を見るのを止めると静かに言った。

「……まだいるみたいだな」

当然サクヤとコウタもその音は聞こえていて空気に緊張感が走る。

「そんな報告聞いていないけれど…」

サクヤは訝しげに言うと俺とコウタの顔を見比べて安心させるように苦笑いを浮かべ言った。

「とりあえずアラガミの確認だけしてみましょう。討伐するかはまた別でね」

俺とコウタは自然と顔を見合わせた。お互い疲れた顔をしている。

「うえ〜、可愛い女の子だったら大歓迎なんだけどさあ〜」
「でかくても女かもしれねえぞ」
「女の子でもアラガミは圏外だよ…あ、もしかしてトウが全然アラガミいけちゃう感じみたいな?」
「んな訳ねーだろ、んな趣味は悪くねえ」

ソーマが歩き始めたので俺、コウタの順番でついて行く。最後尾はサクヤだ。
俺は自分のかアラガミのかわからない頬についた乾きかけの血を袖で拭った。





prevnext

戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -