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「作戦は変更なしで良いわね」

出撃前に話し合った作戦を脳内に思い出しながら頷く。
作戦と言ってもそんな大層なのではなく、シンプルなものだ。
ソーマとコウタ、俺とサクヤで二手に分かれ討伐対象を探索、見つけ次第もう片方のチームに連絡し合流しだい強襲開始 といいうものだ。

「さっさと済ませるぞ」

ソーマはそう言うと一人先に背を向け歩き始める。

「あ、ちょっとソーマ!」

コウタがソーマに小走りについて行くのを見て俺とサクヤも探索を始めることにした。


ヴァジュラまでの大きさになると足跡がよく響くため立ち止っていない限りは発見しやすかったりする。
耳を澄ましながら足を動かすが今のところそのような音は聞こえず逆にとても静かだった。

風もなく空気がシンとしていていつもこうであったかと少し不気味で不安になるほどの静けさ。
未だに感じる腹のザワザワが嫌な予感を感じさせる。

―ふと足を止める。

足音ではないが遠くで遠吠えなようなものが聞こえた。
サクヤを見るとサクヤは目が合うとゆっくりと頷いた。

「今のヴァジュラね」
「…行くか」
「ふふ、本当見かけによらないわね」
「は?何が?」
「見かけによらず繊細ってことよ」
「はあ…?うぜー」

サクヤは小さく笑うと先に足を進めこちらを振り向き言った。

「先輩には敬語、ね」

「…はいはい」


しばらく小走りで吠え声の聞こえた方へと向かうとズシンズシンと思い足音が地面に響き始めた。
その地面に響く足音の大きさに敵の巨大さが感じ取れ生唾をごくりと飲み込む。

「近いわね…っと」

するとサクヤは素早く建物の壁に身を顰め俺をそれを真似る。
サクヤがヤツがいるであろう方向を指をさし身を顰めながらも盗み見るとそいつはいた。
今日の討伐対象である例のヴァジュラは呑気そうに散歩中のようだ。
サクヤがソーマとコウタに収集をかけている間、俺はヴァジュラの動きを見ていた。

今ヴァジュラがうろついている場所はラッキーにも障害物がなく広いため動きやすい。
狭い場所に入られる前にやってしまい所だが合流するのを待たない訳にはいかない。

いつでも動けるようにと神機を持つ手をしっかり握りヴァジュラから目を離さないでいると遠くに何かがこちらに向かってきているのが見えた。
ソーマとコウタだ。
サクヤにソーマとコウタが来たことを知らせいつでも参戦できる体制になる。

あっという間にソーマとコウタはヴァジュラの元にたどり着き、ソーマは潔くヴァジュラの目の前に立つと神機を深々と振り下ろした。
コウタもそれに負けじとソーマの後ろに立ち援護射撃をしている。

それを合図に俺とサクヤも建物の壁方飛び出す。



アナグラでの神機の扱いに対しての演習の時、ヴァジュラがシュミレーションとして出てきたときがあったがやはり本物とは全く違う。
この緊張感のある空気に体が疼く、やっと俺はこいつを倒せるのだ
先ほどの緊張はヴァジュラを目の前にしたら吹っ飛んだ。
走る俺に反抗する風を頬に感じながら俺は口角が上がる。

ヴァジュラが雷球を放とうとしている間にヴァジュラの胴体の側面に近づき神機を振るう。
刃が肉に突き刺さる感触に手ごたえを感じながらもまだまだだと自分を抑える。
雷球を飛ばし終わるとヴァジュラは即座にこちらに振り向き鋭い爪をもつ右腕を振り上げた。
咄嗟にバックラーを展開すると次の瞬間ガアン!と音を立てて強い衝撃が腕の骨までに届いた。

「ははっ、うぜーなあっ!」

まるでアラガミと喧嘩している気分だ。
俺はさっさとバックラーとしまい神機を振り上げた。





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