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 3

アリサは一歩後れを取り動き出した。
俺はそんなアリサに続き射線に気をつけながら銃の狙いを定める。
シユウの最大の弱点は頭だ。
そして連射、連射
弾切れになると同時に破壊はできなかったもののシユウはひるんだ
即座に形態を剣に変え捕喰
体が熱くなり奥からフツフツを湧き上がるのは力
その湧き上がる力に口元に笑みを浮かべながら頭を狙いつつも硬い羽に切りにかかる
想いの通りに動く体に気持ち良く感じながら攻撃する手は止めない

「離れろ!」

シユウが大勢を低くし身構えた瞬間リンドウが叫んだ。
その声を聞いた俺とアリサはすぐに後ろへと下がる。
するとシユウは先ほど俺たちがいた場所に範囲攻撃の衝撃派が襲う
その間に俺は回復錠を取り出し腹の中へと流し込む。
攻撃した後でもまだ屈んだままのシユウに俺は攻撃をと走る
こいつは、遠距離の攻撃が多い。
ならば剣での攻撃の方がスムーズに攻撃を受けずに済むはずだ
銃よりも剣の方が得意な俺にとってはなんとも好都合なことだ

「グギャア!」

頭部破壊、ダウン
良い手ごたえだ、任務前に入れておいた知識も役に立っている
まだ戦闘は始まったばかりではあるが、これならスムーズにいきそうだ。
久々に外に出れ、動け、少し楽しかった




「ふうー、今日も生き残れて何よりだ」

帰投ヘリの中でリンドウは先ほどの任務地で回収したものを確認しながら言った。
俺はそんな独り言を流しながらヘリの中から見える青い空を眺めていた。
曇はいつの間にか去り、空にはきれいな青が広がっていた。
この空の青もいいが、ソーマの青もいいな、とふと頭の中にソーマが浮かんだ
ソーマの瞳の色はこんな空のような青ではないが、きれいな色だ。
透明感のある灰色の混じったような青色
空の色も好きだが、ソーマの瞳の色もまた好きだ

「ほら見ろアリサ、あいつ空見るの好きだろー」
「そんなに見て一体何かを探しているのでしょうか?」
「・・動物の形の雲でも探してるんじゃないか?」
「・・落ち着きたいってことでしょうか?」
「いやー・・うーん・・、どうなんだトウ君よ」

後ろで会話する二人
少し考える、しかし何も理由は見つからなかった

「別に、理由なんて必要じゃねーだろ」

あ、違え
言った後すぐ俺は気付いた。
さっき俺はなんて思っていた?
空の色が好きだと思った、ソーマの瞳もまた好きだとも
きれいだと、いいと思っていた

あー、俺、空が好きなのか

なるほど、と思いながらもそれを口に出して言おうとは思わなかった。
返事はもうしてしまったし、何しろ好きという言葉を声にするというのはなんとも照れくさい
そうか、俺は昔から空が好きだったみたいだ
・・好き、ねえ・・
そんな感情、俺にもあったんだな

「まあ、すべての事に理由が必要なわけじゃないしな」

リンドウは一人頷き、アリサはよくわからないという顔をしていた。




俺の現場復帰から数日がたった。
俺の傷は特に何も問題はなく任務もなんとかこなしていた。
ブランクがあるかと思っていたが思っていたよりはマシだった
しかし、日がたつにつれて神機使いが集まるエントランスは不穏な空気になっていた。
どうも、アリサが関係しているらしい
それ関連の話は興味もなく耳には入れないようにしてはいるが俺と同じ新型という理由で話をふっかけてくるやつも少なくはない
めんどくせえ、本当めんどくせえ

「トウって意外とマジメだよなー」

サカキからのアラガミの進化に関する講義を新人3人で終え研究室で出た所でコウタは言った。






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