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「タンポポ、花言葉は真心の愛、神のお告げ、愛の神託」

それだけ読み上げるとサカキは本を閉じそのままそれを積まれた本の上に乗せた

「これはプレゼント」

常に微笑んでい顔をさらに深くさせサカキは言った

「は、いらない」
「息抜きにでもどうぞ」

拒否することは許さないと言い方と表情に俺は俺は嫌々ながらも頷いた。
いいや、もらえるもんはもらっておこう

「この本達は返さないで良いからね、未来ある君に期待を込めてのプレゼントだから」
「・・ありがとうございます」

その大量に詰まれた大量の本を両手で持つと中々の重量があった
この量の本を全部読むのにどれくらい時間がかかるだろうか
しかしこの本を全部読み終わった時には今の自分よりは知識量がいくつかマシになっているはずだ

両手が埋まっているため扉はサカキに開けてもらい「どーも」と小さく会釈して俺は部屋を出た
この大量の本だ、値段にすればとんでもない額だろう、集めるのだって自分にはどれがいいのかすら判らない
そこは本当に感謝しなければならないと思っていた。



「お、トウ」

部屋を出て自室へと帰ろうと少し歩くとこちらに向かってくるリンドウとソーマの二人の姿が現れた

ソーマが誰かと一緒に歩くのは珍しくこのフロアをリンドウと歩いているということは仕事に関してなのだろう
頭をペコリとするとリンドウは「よう」と片手をあげた

「おー、なんだその大量の本は」
「・・サカキが勉強しろって」

自分が頼んだとも言うのも恥ずかしくここはサカキのせいにさせてもらう

「ははは、さすがサカキのおっさん。やるなあ」

相変わらずよく笑う男だ
リンドウの少し後ろにいるソーマはこちらに話しかける気配はなくたた黙って立っている
先ほどは目があったものの最近話してはいない
元々無口なヤツなことでは分かってはいるのだがソーマとはなんでもいいから話がしたい、などとらしくないことを思っていた
任務中にあんなダサいところを見られてしまったし距離を取ろうとでも思われてしまったのか
俺がソーマを見ていることに気付いたのかソーマは顔をあげこちらを見た
何か話しかけようかと口を開こうとしたがソーマが先に口を開く

「傷、大丈夫なのか」

あれ、話しかけてくれてるじゃねえか
しかも傷の心配、俺のことを思っていたより気にかけていてくれたみたいだ
話しかけてくれている、ただそれだけのことなのに俺は自分が思っていたよりもそれは嬉しいことらしい
ソーマが話しかけてくれたことと自分が思ってる以上にそのことについて喜んでいることに驚き返答をするのを忘れていることに気づいた

「あ、ああ。ミッション復帰まではあと少しじゃねえかな」
「・・人手不足はめんどくせぇからな」

それは、さっさと復帰しろということで良いのだろうか

「迷惑かけて、わりーな」
「・・・ふん」

そんな会話をリンドウがニヤニヤとみていることに気付いた

「ソーマ相手だと結構素直なんだな」
「気のせいじゃないですかね」
「へー、気のせい・・」

そう言いながらもリンドウは相変わらずニヤニヤしている

「あ、そういえばトウ」

今思い出した、とでも言うようにリンドウは手のひらをポンと叩いた






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