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 3

エレベーターから出ると指示された場所、エントランスの2階出撃ゲート前には、もう俺以外の第一部隊の奴らは集まっていた。
俺の存在に一番早く気付いたのはコウタでパっと笑顔を咲かせるとこちらに手を振った。

「おー!トウ!」

その大きなコウタの声に第一部隊の奴ら、さらには1階にいたオレペレーターやら神機使いがこちらに注目した

「傷の方はどうなの?」

そんな視線を無視し近寄ってきたコウタが俺の目を見て心配するように言ってきた
どうやら俺に視線を向けた奴らも気になっているようでこちらに耳を向けているのが分かる。

「もういいんじゃねーの」
「おお!ってことは今日から復活?」
「何言ってんだ、まだだろーが」

嬉しそうに言うコウタにすかさず会話に入って真実を言ったリンドウ

「えー、はやくトウ傷直せよー」
「うっせー、もうほとんど治ってんだよ」
「はあ・・全く」

リンドウは呆れたようにため息をつくとその横にサクヤが現れた

「お医者さんの話、ちゃんと聞いてね」

ニコニコと笑いながらサクヤは言うがその声には少し黒いものが詰まっている

「・・なんか聞いたんですか」
「ええ、ちょっと、君についての愚痴を」
「あー・・」

まあ、確かに
愚痴を言われるようなことをした覚えはある
悪気はないのだが迷惑はかけたかもしれない

「えートウ、お医者さんの話くらいは聞こうよ」
「うるせーよ」
「ソーマも呆れてるよ?」

ほら、とソーマの方を指を指しそちらの方向を見るがソーマは特に何も反応していない
あえて言うならばいつも通り腕を組んで俯いている

「・・どこが?」
「あーえーと・・俯き加減?」
「へー、そう」

ソーマはきっと聞こえているだろうが聞こえてないふりだろう
それは聞こえてはいるが見事にすり抜けているか

「あ、そういえばトウ」

リンドウが思い出したように俺に話しかけた直後

「よし、集まっているな」

後ろにおそらく新人だと思われる女と連れたツバキによって遮られた。
この辺りの地方の出身ではないようで肌は白く透明感のある青い目、ソーマとは違うが白い髪色をしている
歳は同じくらいだろうか、若い
そして気が強い雰囲気がばんばんと伝わってくる

「紹介するぞ、今日からお前たちの仲間になる新型の適合者だ」

少しだけ目があった、しかし相手は先ほどからずっと無表情でピクリともその顔は動かない

「初めまして、アリサ・イリーニチナ・アミエーラと申します。本日一二〇〇付けでロシア支部からこちらの支部に配属になりました。よろしくお願いします」

感情を何も込められていない声で淡々とアリサというやつは言った
フルネームがとんでもなく長いが名前の部分は一番始めのやつであっているはずだ
しかし、俺が言えたことじゃないが愛想のないヤツ

「女の子ならいつでも大歓迎だよ!」

男はいらねーのかよ
心の中でツッコみを入れながらもさすがコウタだな、と少し尊敬してしまう。
よくもまあ、そんな無表情女にニッコニコデッレデレにできるもんだ
まあ、それがコウタの良いところではあるが






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